本当に心の底から堪能。
にこやかに何か話すカイザーに少しはにかんだように微笑むプリンセス。
ああ…眼福…
まるで大好きな【エルサイア・オデッセイ】の1シーンのようだ。
たまにプリンセスがつまずきそうになって、カイザーに支えられたりするシーンを見れたりした日には、絶叫を堪えるのが大変だ。
その後は遠くからカイザーとプリンセスを護衛するように寮生皆で移動。
中等部と高等部の校舎の境界まで来ると、名残惜しそうにプリンセスの額に口づけるカイザーにまたモブース達は心の中で大絶叫。
毎日のことでも大絶叫。
帰りは残念ながらモブース達は同人活動同好会の活動のため2人の様子を見る事は出来ないが、夕食時にはまた、ふたりが寄りそっている図が見られるので、ガン見しつつ自身の食事をする毎日だ。
気候の良い日はたいてい食堂で食事を摂る寮生達と離れて、カイザーとプリンセスはテラスで食事。
普段はきつい印象のカイザーがいつになく優しい表情でプリンセスの小さな口に匙やフォークを運ぶ図も、少し恥ずかしそうに口を開けるプリンセスの様子も、尊すぎて悶え転がる日々。
入寮から日を追うごとに近くなっていく2人の距離。
最初はプリンセスの口にソースなどが付くとナプキンで拭っていたのが、指先で拭うようになり、その自身の指先を当たり前に舐めるカイザーに心の中で悲鳴。
先日など、とうとうプリンセスの頬についたソースをペロリと直接舐め取る図を見て、その夜は3人集まって
──あれ、何があったんだっ?!
──ローランとアリア、絶対に出来てるよなっ?!
──とうとう初夜終えたのかっ?!!
などと盛り上がり、それから2人の初夜談義に突入。
かつて出した【エルサイア・オデッセイ】の大人向け同人誌にその姿を重ねて大いに語り合っている間に、そこはまだまだ青いDKなのもあって色々ピンチになって、2人はきまずそうに自室に戻る旨を告げて帰っていった。
何故?なんのために?などとは誰も言わないし、モブースも聞かない。
みんなわかっている。
モブースだって友人達が帰ったあと、カイザーとプリンセスのそういう行為を妄想してそれをオカズに何回か抜いたのだから…。
今まではディスプレイの向こうの2次元のキャラでの妄想だったところが、目の前にキャラがそのまま飛び出して来たような2人がいるのである。
声、息づかい、ちょっとした表情など、実際にリアルで視覚、聴覚、嗅覚などで感じることのできる2人で想像すると、興奮度が違う。
2人の身長差や体格差…。
あのカイザーにプリンセスが組み敷かれて…まだ高く可愛らしい声で啼きながら、真っ白な全身を薄桃色に染めて登りつめさせられる様子を思うと、何度でも抜けてしまう。
それ以来、モブースのその時のオカズはカイザーとプリンセスの濡れ場の妄想一択になった。
まあ実際はプリンセスは任期の間は寮全体のものなので、そんなシーンはないのだろうが、妄想するだけは自由である。
大人向けだけでなく、2人の日常のちょっとしたやり取りを見るたび、色々なストーリーが脳内に出来あがっていく。
それを仲間2人と語り合いつつ、R18でない部分は同好会で本にして楽しむ。
日々楽しい。
とても楽しい。
当事者だったらこんな楽しみ方は出来ないので、モブに生まれて良かったっ!と、モブ生活を謳歌している。
そんな中、ついにカイザーとプリンセスの絡みが増えるイベント体育祭がやってきた!
早朝から自寮のテントを準備しなければならない大変さも、そこに2人が並んで座ってイチャイチャしてくれるのかと思えば楽しい作業だ。
そうして準備を終えてカイザーにエスコートされてくるプリンセスに萌え…その後の開会式での自寮のカイザーの宣誓シーンにも萌えた。
…俺はお前の身と名誉を守るためだけに、今、ここに存在している。
…だから俺を信じて守ってくれと願って欲しい…
なんて、もうアリアを守るローランそのものだ。
実はあれか?
まさかカイザーも【エルサイア・オデッセイ】のファンだったりするのか?!
などと小声で友人2人と盛り上がり、その後のプリンセスの小さな可愛らしい
──…ま……守って………
の言葉に悶え転がった。
もうお前らマジで結婚しろっ!!と言いたい。
声を大にして言いたいっ!!
そしてその新居の寝室の壁になりたい…と友人達と語り合った。
その後、短距離、中距離、長距離走を仲睦まじく観戦する2人を堪能。
そして待ってましたの馬車引きリレー!!
全てが素晴らしいっ!
体育祭万歳!!!
………と、その瞬間までは、モブースも思っていた。
そう…部活別借り物競走の借り物の紙を見るまでは………
Before <<< >>> Next (7月23日0時公開)
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