抱っこ大好きっこで、ベビーベッドに戻されると大暴れする。
ペドと称されるスペインに、イギリスの一番の理解者でその子どもの一番の理解者を自負する愛の国フランス…。
『あなたに似て騒々しい子どもに育つ前に、芸術に触れさせて落ち付きのある子に育てないとですね。
仕方ない。
私自らピアノを教えて差し上げますから、3歳くらいになったらこちらにお寄越しなさい』とオーストリアが言えば、カナダは『産後は身体を労わらないとですし、双子だと育児も大変ですしね。僕ならイギリスさんがして欲しい事して欲しくない事を誰よりも理解していますから、イギリスさんの方針に沿った子育てが出来ると思うんです』と、ことあるごとに子どもの教育係をアピールする。
もちろん他の各国も赤ん坊目当てにしばしばイギリス宅を訪れた。
そんな中にベラルーシまで混じっていたのは本当に驚きで、さらに彼女が赤ん坊に目もくれず、いきなりイギリスの腕を取った時には驚いたプロイセンが慌てて間に入った。
「なんなんだ?!アルトに何する気だっ!!」
とイギリスを背中に隠すプロイセンとイギリスを交互に見上げたベラルーシは無表情なまま
「どちらが原因なんだ?」
と尋ねる。
「どっちって?」
「子どもが出来た原因だ」
「そりゃ…まああれじゃね?
される方がしたくてもする方がその気にならねえと出来ねえし?
俺様がムラムラっときて…」
と、当たり前に始めたプロイセンは真っ赤になったイギリスに後ろからけり倒された。
「…こいつのほうに特殊要素があるのか?」
と、床に盛大に倒れこむプロイセンに眉一つ動かさず、今度はイギリスに目を向けるベラルーシ。
「特殊要素って…?」
と尋ねるイギリスに、さらっと
「兄さんが子どもを可愛いと言ったんだ。だから兄さんの子どもが産みたい。
そうすれば兄さんと結婚できる。」
と当たり前に答えるベラルーシにイギリスは納得すると共に頭を抱えた。
「あ~…うちの妖精さんの力だから…。うちの国の具現化である俺限定だと思うんだが…」
と、一応思うところを答えてみると、ベラルーシはひらりと身を翻した。
そして
「ベラルーシ?」
と声をかけるイギリスに
「冬将軍を脅してみればいいんだな?」
と、物騒なことを言いつつ少女はまっすぐ帰っていく。
呆然とその後姿を見送りながら、冬将軍…ごめん…と、本当にやるであろう兄命の少女の事を考えて、イギリスは他国の精霊に心の中でわびたのだった。
どうしたら子どもが出来るか…はこの他にもひどく怖い顔をしたスウェーデンにも聞かれて、思わず泣きそうになってフィンランドに謝られたり、イタリアにせっつかれたドイツが真っ赤な顔をして聞きにきたりもして、同じ答えを返したが、結局その後他国に子どもが生まれたという話を聞かないところを見ると、ダメだったのだろう。
プロイセンとイギリスの間ですら、それ以来子どもを授かることはなく、この子ども達は特別な奇跡の子どもなのだろうということで、世界の国々は納得せざるを得なかった。
こうして本当にひょんな事から偽装結婚をすることになった二人は、世界で一番幸せな国一家として世界から羨まれる家族となったのだった。
── 完 ──
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