のっと・フェイク!verぷえ_第四章_2

双子が生まれてから、静かだったイギリス邸は子ども達に会いに来る国々で随分とにぎやかになっていた。

まずは母親であるイギリスの実兄のスコットランド。

身内だからかその無条件の愛情を感じるのか、どちらかはわからないが、人見知りで両親と赤ん坊の頃から世話をしに日参していたドイツ以外に抱かれると泣くアリスが、普段側にいる人間以外で唯一泣かない相手、それがこの伯父である。

世界のお兄さんと言ってはばからず老若男女に愛想の良いフランスでも、優しげで威圧感などかけらもないイタリアでも、そう、あの日本にですら大泣きをする始末なのに、決して子どもに好かれるような優しげな風貌ではないスコットランドが初めて不器用に危なっかしい手つきで抱っこした時ですら、おとなしく機嫌よく抱かれていた。


他には懐かず自分にだけ懐く可愛らしい姪っ子に、女の子の身内を熱望していたスコットランドはメロメロだ。


手にべっとりウンチをつけられようと、卸したての高級スーツにベロ~っとミルクを吐き出されようと全く気にすることなく、しょっちゅう訪ねてきては抱え込んでいる。

その溺愛っぷりに、プロイセンもイギリスもスコットランドに対する認識が180度変わってしまったくらいだ。


“俺のアリス”と公言してはばからず、嫁には絶対にやらんと宣言する。

自腹でイギリス宅中の窓を防弾ガラスに換え、壁を補強するなど、防犯設備の強化までやってのけた。

その上で家の敷地の周りに魔方陣を張って結界を施し、ほとんどの者には見えないが妖精さんの護衛まで配置しているらしい。

伯父馬鹿ここに極まれりと言った感じである。


アリス自身が泣くと言うのもあるが、スコットランド怖さに誰もアリスには手を出せない。

性懲りの無い性分のフランスですら二度目のチャレンジ中に訪ねてきたスコットランドにキレられて家中の酒を呪いでヴィネガーに変えられて以来、アリスには近づいていない。

せいぜいスコットランドがいない時のみ、アメリカが今日のようにちょっかいを出して、フリッツに足蹴にされる程度だ。

こんな状態なので、残ったフリッツは各国取り合い状態である。


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