ギルベルトは心の中で絶叫した。
大きすぎるベッドに埋もれるようにして眠っている少年は、小ささが際立っていて、ふわふわしていて、可愛らしくて、まるで拾ってきた子猫を思わせた。
可愛い、可愛い、可愛い。
まだ熱は下がらなくて、意識も戻らないのだが、とりあえずは意識が戻れば一安心。
薬を飲ませる事が出来たなら、即なにかと言う事にはならなさそうだとのこと。
だから安堵に胸を撫で下ろしつつ、汗を拭いてやったり、額に乗せた濡れタオルをかえてやったりしていたのだが、やがてふるりとかすかに身を震わせて、ゆっくりと目を見開いた少年は、そのメロンキャンディのように澄んだまんまるなグリーンアイにじわりと涙をにじませた。
そして弱々しくも懸命な様子でギルベルトの手に縋りつく。
その時点でもうダメだった。
可愛すぎて変な声が出そうだ。
声を出せないのだろう。
ぱくぱくと開閉する唇の動きは、どうやら、陛下、と、何度も繰り返しているらしい。
怖かったんだ、心細かったんだ…と、その様子から痛いほど伝わって来て、胸が詰まる。
「…ごめんな?いきなり1人にして心細い思いさせて本当に悪かった。
もう大丈夫だからな?」
と、頭を撫でてやると、くすん、くすんと甘えるように泣く。
おそらく今回の事は本人が一番焦ったのだと思う。
ドアの鍵が開いていたのでドアを開けたところを、衛兵に大声を出されてびっくりして飛び出してしまったのだろう。
まるで家飼いで外に出た事のない小動物のような反応だ。
飼い主の手に戻ってホッとしたように甘えてくる子猫のようにきゅうぅっとギルベルトの服の袖口を掴んだまま、やがて泣き疲れて眠ってしまったが、さすがにこの状態で1人にする気にはなれず、ギルベルトはまたタオルを片手に汗を拭いてやりながら、目を覚ますのを待った。
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