ただいま~と自宅のドアを開けると、エリザのところに預けたはずの、最愛の天使が涙目で飛び出してくる。
「怪我はっ?!本当に怪我してないっ?!!」
と、ぺたぺたと胸元を確認する小さな手がくすぐったくて思わず笑うと、
「笑い事じゃないっ!!」
と、ぶわ~っとその大きな目から涙が滝のように溢れ出る。
「堪忍。くすぐったかってん。
会見の時の事なら大丈夫やで~。
ほんまに刺してへんて」
と、ひっくひっくとしゃくりをあげる天使の目元、両の頬、そして唇にキス。
それからひょいっとその身体を抱えあげると、有無を言わさず廊下の奥、リビングへと移動した。
「おかえり~。ほら、アーサー、だから大丈夫だって言ったでしょ」
と、どうやら昼食を作って待っていてくれたらしいエリザが、キッチンの奥から顔をのぞかせる。
「アーサーが一刻もはやくトーニョの状態を確認したいから部屋に帰るっていうから、こっちで待ってたの。
食事出来たから、あたしもそろそろ戻るわね」
と、エプロンを外しつつ言うエリザに礼を言って、アントーニョはなきじゃくるアーサーをダイニングの椅子に下ろすと、エリザからエプロンを受け取って、すでに皿に盛ってあるサンドウィッチとサラダ、それにスープをテーブルに並べた。
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