でも俺様本当にアルトに危害加えようなんて思ってねえし、ここで少しでも楽しく過ごしてもらえたらって心から思ってんだ。
なんか…俺様怖いか?
………
女子どもにはなんか怖がられるから、怖いんだろうな……
もし俺様が側に居るのが怖いなら、別の使用人つけるけど…。
女官の方が良いか?」
言っていて自分の方も悲しくなってくる。
肩を落とすギルベルトに、何か落ち込んでいると言うのを感じとったらしい。
アーサーはおそるおそるギルベルトを見あげた。
「…迷惑…かけたから……怒ってないのか?」
「は?迷惑って?」
ようやく普通に話してもらえた気がして少し浮上する。
…が、言っている意味がわからない。
怖がられたくない。
拒絶されたくない。
出来れば好かれたい。
その3つが脳内をグルグル回って、結局返事を待ち切れず
「えっとな…なんかわからねえけど…俺様は別にお姫さんに迷惑かけられた覚えはないし、一般的に迷惑と言われるような事でも、お姫さんが俺様に対して何か求めてくれたり頼ってくれたりすると、すっげえ嬉しいんだけど……」
と、小さな頭をソット撫でた。
まんまるく見開かれる目。
それからちょっと悩むように視線をそらせて…またおそるおそるギルベルトを見あげてくる様子は本当に小動物だ。
「…あの……」
「…おう、」
「…いきなり熱…だしたから……」
「は?ああ、ごめんな、体調悪いの気づかなくて…。で?」
「…いや……熱出して…迷惑かけたから……」
互いに目を丸くして押し黙った。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
続く沈黙。
「もしかして迷惑って体調崩したとかか?!!」
正直周りが頑丈すぎて体調崩す人間が少なすぎて、そういう発想がなさすぎた。
驚いて見下ろすギルベルトに、アーサーはこっくりと頷く。
「…余計な手間暇かけたから……」
そう言われてギルベルトはぶんぶんと思い切り首を横に振った。
「…っいわくじゃねえ!迷惑じゃねえからっ!!
むしろ何か辛かったり苦しかったりする事があったら、すぐ言ってくれ!
絶対にすぐ対応するからっ!」
と、ギルベルト的には極々当たり前のことを言ったら、思い切りびっくりした顔をされた。
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