生贄の祈りver.普英_3_3


確かに大陸で3大国として並び称されている残り二国の中では風の国は油断のならない国だ。
とにかく根回しが上手い。
ガチでの戦闘に入ってしまえば負ける気はしないのだが、水面下の外交策で中立と思っていた国に後ろから攻撃を仕掛けられて挟み撃ちにされかねない。

まあ、大国同士は暗黙の了解で直接対決はしないつもりなのだが、かといって同じくらいの国力を持っている違う国な以上、絶対に戦争がないとも言いきれない。

今回の森の国の王子を巡ってのゴタゴタは、ともすればそんな危うい均衡をやぶるきっかけにならないとも限らないのだ。

まあ、よしんばそうなってしまったとしても、ギルベルトとしては一歩も引けないところなのだが…。

とにかく色々予定が狂ってしまった。
良い方向にも悪い方向にも……

まずは部屋…。

一応他国から送られてきた王子などを通すための部屋は城の西側にまとめて用意されている。
東にある王の私室とは一番遠いので、この距離をなんとかしたい。
そんな事を考えながら踏み入れる西の宮。

カツカツと大理石の床に足音を響かせながら、ギルベルトはその中央あたりの部屋の前まで来ると、軽くノックをして部屋に入った。

まず入るとダイニングを兼ねたリビング。
その中央部にあるテーブルには時間がたって冷めてしまったらしい昼食が手つかずで置いてある。

(…口に…合わなかったのか…?)
ここまで一緒に来た道中を見る限りでは、特にひどく食事に煩いようには見えなかった。

メニューも特に変わったものではないし、そうすると、もしかして道中で疲れて眠ってしまっていて食事に気づいていないのかもしれない…。

そう思ってギルベルトは今度は寝室へと足を向けた。




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