フェイク!verぷえ_第一章_1

「ギルちゃんさぁ、そんなんだからいつまでたっても童貞なのよ?」

「せやで~。
今はまだ外見年齢若いからええけど、童貞も年取るごとにだんだん捨てにくくなんで?
テクニックないからて避けとっても、場数を踏まな巧くはならへんしな?」



世界会議後の飲み会が終わって有志でなだれ込んだ二次会の席でのこと。

ラテン民族の悪友2人は、ある程度飲みが進むとナンパに赴くのが大好きだ。

別に性欲を発散する相手に特に飢えているわけでもない。
なにしろタイプこそ違えど男の目から見ても2人ともイケメンだ。

目立つレベルにイケメンな上に、国体だからだろうか…
他と違う圧倒的オーラのようなものがある。
それが2人揃っていると、周りの男女共に振り向いていく。

まあ…自分も顔立ちの整い方で言えば、彼ら以上に正統派のイケメンであるにもかかわらず、普段ふざけて「俺様イケメンだぜぇ~」などと言うわりに、脳内で分析する時にはそこに自分をカウントしないあたりが、プロイセンらしいところではあるのだが…

ともあれ、彼らは飢えているわけでもないので、おそらく自分達の魅力をアピールするのが好きなのだろう。


それは良い。
勝手にすれば良い。
と、プロイセンは思う。

自分に合わせろとも思わないし、絶対に誰かといないと落ちつかないタイプでもないので、それならそれでいつものように、俺様ひとり楽しすぎるぜ~などと言いながら、そのまま1人で飲んでいるだけだ。

ところが悪友達の方が巻きこみたがる。
いや、正確にはプロイセンが同行を断るのをわかっていて誘いをかけては、からかいのネタにするのが好きなのだ。


それがわかっていても、プロイセンにはその手のことに加わりたくない理由がある。

だから、

「別に童貞じゃねえよ」

と、最初の頃は否定していたものの、それでさらに嘘だの見栄をはるなだのからかわれたり、じゃあいつ誰とだなどと踏み込んでこられるのが嫌で、最近はだんまりを決め込む事にしていた。

それでも気分が良いものではない。

プロイセンにとっては神聖なもののはずのそれは、悔恨と悲しい思い出なので、正直そっち方面を茶化されるのは非常に不快極まりない。

自然と眉間にしわが寄る。

が、いつもならそれでも無視していると悪友達もやがて飽きて2人でナンパにむかうのが常だったのに今日はなんだかしつこい。

正確に言うと、スペインは少し離れたところで飲んでいるそういう出会いを待っているかのような女性陣にちらほら視線を向けているのだが、フランスが動かない。

なんとなく…なんとなくだが、機嫌が悪いようだ。




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