会見が終わって楽屋に戻り、即ネクタイを引き抜いてスーツの上着を放り出すアントーニョ。
こうやって楽屋にいる時にいつも一緒のアーサーがそばにいないのは、本当に何ヶ月ぶりだろうか…。
ホッと一息つく時にだきしめる細い身体がないのが妙に寂しい。
今日は元々はオフなのでエリザお預かりでエリザの部屋でエリザにレース編みを教えているはずだ。
早く帰ってあの子を引き取ってだきしめたい。
「ほんと…途中何度もひやひやしたぜ…。」
と、キリキリと胃が痛む思いで会見を見守っていたギルベルトが言うと、フランシスも、
「まったくね」
と頷く。
「そもそもあのセット何?確かにすぐ用意出来そうではあるけど、悪友キッチンできちんと正装して記者会見て前代未聞じゃない?
まあ…そのめちゃくちゃぶりがトーニョらしいけどさぁ…」
とさらに言えば、アントーニョはちゃっちゃと帰り支度をしつつ、あ~それな…と、色々を適当に押しこんだ私物のバッグを手につかんで立ちあがると、ドアに向かいかけた足を一瞬止めて振り返った。
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