との祈愛の声に、記者団が食い入るように祈愛に注目する。
そうして少し静かになったところで、祈愛はウェンズディの記者の方に視線をやって、
「先日旧知のウェンズディの同年代の記者の子、あ、女の子ね、その子と飲みに行ったのよ。
で、その時の話を書いちゃったのよね?」
と、目配せをする。
ウェンズデイの方からすれば、自分達の記事が事実無根のでっちあげでそのせいでお茶の間のファンのみならず、芸能界や記者からも人気のある悪友のアントーニョが…という方向になりかけて、下手をすれば今度は自分達がひどく叩かれそうな勢いだったので、祈愛のフォローは本当にありがたい。
渡りに船だ。
とにかくぶんぶんと首を縦に振ると、祈愛はにっこり微笑んで、それからアントーニョを向き直った。
「ごめんね。
あたしもようやくお酒飲める年になって調子に乗ってたし、二人ともかなり飲んでたから、盛り上がったのは良いけど、願望が事実みたいな話になっちゃってたみたい。
最近天使ちゃんに会った時、ほら、トーニョの撮影見に行って待ってる天使ちゃんに話しかけただけで、撮影ほったらかしてスキャンダルになるような事するなって注意しにきたじゃない。
その時の事思い出して、もうめちゃくちゃ大事にお育てしててねって話から、トーニョはイケメンだし、天使ちゃん可愛いから、いっそのこと二人が出来てくれれば萌えるのに~って言った記憶はあるのよ。
それがそうならいいな~が、そうだ、になってたみたい」
「はああ~~~~????なんでそうなんねんっ???」
「なんでって……ほら、あたし達アイドルは恋愛ご法度だし?
男女間はもちろん、女同士の話だって下手すればまずいから…女のあたしが楽しくいいな~萌えるな~って語れるのは絶対に自分が当事者になれない男同士の恋愛くらいなんだもん」
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