ヒロイン絶賛修行中6


こうして始まる悪友キッチン。


まずは颯爽と登場するフランシス。

その後にギルベルトと、そのギルベルトに襟首を掴まれて引きずられているアントーニョ。

そのアントーニョが手を伸ばす先にはエリザに手を引かれたアーサーがいる。



「本番くらい雛から離れろっ、この親馬鹿がっ!!」

とのギルベルトの声に笑いが起こった。

「本番やから、あの子この番組正式に出るの初やから、ついててやらんとぉぉ~~!!!」

とジタバタするアントーニョ。

もうどこまでが演技なのかはわからないが、しっかりカメラは回っている。



「はいはい、あんた達、しっかり働かないと今日もフライパンが唸るわよっ!」

と、フライパンを振るエリザの影から、チラリと顔を出して客席を覗き見るアーサーに

『アーティー、可愛い~♡』

の声が飛んだ。



「とにかくタイトルくらい言いなさいっ!
今日から改名したんだから、しっかりねっ!
さ~今日も行くわよ~!」

というエリザの号令で、その時だけはぴったりと悪友3人が


「トーニョ、フラン、ギル、そしてアーティの、悪友&Angelキッチ~ン☆」

と声を揃えた。



「俺様のランチボックスの回ということで、今日のテーマは【華麗な俺様の俺様による俺様のための飾り切り講座】だぜっ☆」

と、アントーニョを放して一歩前に出るギルベルト。



しかし、そこですかさずアーサーに駆け寄って抱きしめるアントーニョに、気づくと、また

「雛に構うなと言ってるだろうがっ!親馬鹿っ!!」

と後ろを向くが、そこで隣に来たフランシスがポンポンとギルベルトの肩を叩く。



「あれは…押しても無駄なのはいい加減わかってるでしょ?
押してもダメなんだから……」

「押してもダメだから?引いてみるのか?」

と、そこでギルベルトがそう聞くと、フランシスはノンノン、と首を横に振った。


「引いて聞くやつじゃないでしょ?」

「じゃ、どうしろと?」

「押してもダメだから諦めるの」

「おいぃぃ~~!!!!」


二人のやりとりにドッと笑いが巻き起こる。



「もう運命の親鳥ひな鳥は引き離すより放っておきなさいっ!
今日はあんたの番なんだからアレはアレでいいのっ!」

と、そこでエリザが介入した。


「でも…一応悪友のな…」

と言うギルベルトの言葉は、ブン!と顔スレスレを横切るフライパンによって遮られた。


「…やるわよね?」

「…はい…やらせて頂きます」


ガクリとギルベルトが肩を落としたところで、クルリと客席を振り返って笑顔のエリザ。


「ということで、一人不憫な飾り切りランチいきま~す♪」

と宣言して強引に話を進めていった。






0 件のコメント :

コメントを投稿