こうして始まる悪友キッチン。
まずは颯爽と登場するフランシス。
その後にギルベルトと、そのギルベルトに襟首を掴まれて引きずられているアントーニョ。
そのアントーニョが手を伸ばす先にはエリザに手を引かれたアーサーがいる。
とのギルベルトの声に笑いが起こった。
「本番やから、あの子この番組正式に出るの初やから、ついててやらんとぉぉ~~!!!」
とジタバタするアントーニョ。
もうどこまでが演技なのかはわからないが、しっかりカメラは回っている。
「はいはい、あんた達、しっかり働かないと今日もフライパンが唸るわよっ!」
と、フライパンを振るエリザの影から、チラリと顔を出して客席を覗き見るアーサーに
『アーティー、可愛い~♡』
の声が飛んだ。
「とにかくタイトルくらい言いなさいっ!
今日から改名したんだから、しっかりねっ!
さ~今日も行くわよ~!」
というエリザの号令で、その時だけはぴったりと悪友3人が
「トーニョ、フラン、ギル、そしてアーティの、悪友&Angelキッチ~ン☆」
と声を揃えた。
「俺様のランチボックスの回ということで、今日のテーマは【華麗な俺様の俺様による俺様のための飾り切り講座】だぜっ☆」
と、アントーニョを放して一歩前に出るギルベルト。
しかし、そこですかさずアーサーに駆け寄って抱きしめるアントーニョに、気づくと、また
「雛に構うなと言ってるだろうがっ!親馬鹿っ!!」
と後ろを向くが、そこで隣に来たフランシスがポンポンとギルベルトの肩を叩く。
「あれは…押しても無駄なのはいい加減わかってるでしょ?
押してもダメなんだから……」
「押してもダメだから?引いてみるのか?」
と、そこでギルベルトがそう聞くと、フランシスはノンノン、と首を横に振った。
「引いて聞くやつじゃないでしょ?」
「じゃ、どうしろと?」
「押してもダメだから諦めるの」
「おいぃぃ~~!!!!」
二人のやりとりにドッと笑いが巻き起こる。
「もう運命の親鳥ひな鳥は引き離すより放っておきなさいっ!
今日はあんたの番なんだからアレはアレでいいのっ!」
と、そこでエリザが介入した。
「でも…一応悪友のな…」
と言うギルベルトの言葉は、ブン!と顔スレスレを横切るフライパンによって遮られた。
「…やるわよね?」
「…はい…やらせて頂きます」
ガクリとギルベルトが肩を落としたところで、クルリと客席を振り返って笑顔のエリザ。
「ということで、一人不憫な飾り切りランチいきま~す♪」
と宣言して強引に話を進めていった。
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