こうして帰り着くマンション。
ぐっすり眠っているのを起こすのも勿体無くて、車を駐車場に停めるとそのままアーサーを抱き上げる。
そして肘でエレベータのボタンを押し3階へ。
とりあえず中に入って鍵を閉め、灯りをつけるのはあとにして寝室へ。
丁度帰り着くと鳴る携帯。
「おーら、親分やで~」
と出ると、マネージャーからで、昼にスタジオ入りする前にくれぐれもとアーサーが頼んで置いた薔薇を持って行っていいかということだったので、持ってきてもらって受け取る。
「天使ちゃん、どうです?」
「ん~、疲れてもうたみたいでお休み中や。」
「今日は大活躍でしたもんね。」
「そう思うたら、しばらくはスケジュールゆるくしたって?」
「無理です。というか…今日みたいな事はもう勘弁してくださいよ。
あれベルさんとこだったから良かったもののの……」
「あ~はいはい。ほなお休み~」
と、話が嫌な方に行きそうだったので、強引に打ち切ってドアを閉める。
まあ、今までの女性スキャンダル関係に比べれば、このくらい可愛いものだと思われている事がわかってやっているわけだが…。
花瓶をベッド脇のテーブルに置き、アントーニョはとりあえず考える。
別に荷物の整理も全部手伝ったわけだしアーサーのタンスから寝間着を出すくらい問題ないように思う…。
思う…が……
どうせならこの方がええな。
と、自分のパジャマを出して着替えさせる。
もちろん上だけ着させて下は自分が履くのは男のロマンだ。
当然ぶかぶかなわけだが、そこが可愛い。
ついでに花瓶の紅い薔薇を一輪取って髪に添えて見る。
グッドジョブっ!親分っ!!
と、心の中で自画自賛しながら、スマホを出してパチリと一枚。
ついでにすやすやお休み中の天使ちゃんの隣に寝転んで自撮りを一枚。
一人の写真と二人の写真を撮ると、鼻歌交じりに髪に添えた薔薇を花瓶に戻し、迷わず天使ちゃん一人で撮った写真を待ち受けに。
「ほな、おやすみ、親分の天使ちゃん。」
おはようとおやすみはちゃんとせな…自分からの分と天使ちゃんからの分な、と、2回軽く口付けると、アントーニョは自分もベッドに潜り込んで、温かく小さな身体を抱え込んだ。
天使が腕の中にいる限り、きっと明日も良い日だろう。
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