ヒロイン絶賛売出し中20


「今、お前と天使ちゃんがデュエット出来るかどうかの瀬戸際なんだが?」

「…なん?それ?」


とたんに戦闘態勢を解くアントーニョに、ほんと天使ちゃんて魔法の言葉だよな…と、半ば呆れつつも感心するギルベルト。

それでもさきほどのフランシスの言わんとすることはすでに察したので、自分が話を進める事にする。
  

「あのな、ローデが来れなきゃ番組が成り立たねえ。
新進気鋭の若手ピアニストとのコラボセッションっつーのが今回の番組の売りだからな?
伴奏ないから録音された音源でなんてわけにゃあいかねえんだ。
で、どうせなら、ローデ来るまで絶賛売り出し中の天使ちゃんにピアノ弾いてもらったらどうよって話をな、しようとしてフランが勢い余ったら、お前に殺されかけたわけなんだが?」


「天使ちゃんが…ピアノ……可愛え格好してやんな?」

「善処させる」

と、ギルベルトがスタッフにアイコンタクトを送ると、スタッフがすごい勢いで駆け出していく。

「可愛え格好した天使ちゃんがピアノかぁ…ええなぁ」

「もう暴れんなよ?」

「おん。暴れへんよ~」



はぁぁああ~~~と一気に解ける周りの緊張。



こうしてこの1時間後…2時間番組の中の1時間、ようやく飛行機が着陸してローデリヒが到着するまで、ピアノを受け持ったのが、天使ちゃんことアイドル、アーサー・カークランドの異例のTVデビューとなったのである。





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