「あ、あの…トーニョが前やってきたから…。あ、もしかして俺の方からしちゃまずい事だったのかっ?!」
阿鼻叫喚の中、焦って涙目になるアーサーをアントーニョがぎゅうっと抱きしめる。
もう親分、天使ちゃんが可愛すぎてキュン死にしそうになってもうたけど、もうこれで死ぬなら本望やっ!」
「まずいっ!まずいだろっ!!
お前どこの新婚カップルみたいな事教えてんだっ!!!」
「ちょっと、トーニョやめてよねっ!!
保護責任は我が家にあるんだからねっ!!」
「ええやんっ!ちゃんと親分責任取ったるわっ!
なんやったらこの子16になったらスペイン連れて帰って籍入れたってもええでっ。
そや、そうしよかっ♪」
「や~め~てぇぇ~~~!!!」
「あんた達、騒いでる暇あったらちゃっちゃと飯食って支度しろおおぉぉ~~!!!!!」
と、そこでパ~ン!パ~ン!パ~ン!!!とフライパンが三連発、悪友3人の頭にヒットする。
「いいっ?!これからローデさんをお迎えしての生番組なんだからねっ!!
失礼な事したら明日の朝日どころか、今晩の月も拝めないと思いなさいよっ!!!!」
と、3人頭を押さえて振り向けば、鬼の形相のエリザがフライパンを振りかざして立っている。
「なんでおめえがこんなとこにいんだよっ?」
と、ギルベルトが口をとがらせると、エリザは、当たり前でしょ、と、腰に手を当てて仁王立ちする。
「ローデさんが出るのよっ?!
事務所利用して少しでも近くで拝見しないでなんのための芸能人よっ!!」
もうこれがオフレコでもなんでもなく、どこでも誰にでも言い切ってるあたりが、いっそ潔いと悪友全員感心した。
「あ~でも大丈夫かな~。
なんだか外雪になってきてるし、大阪から飛行機のはずなんだけど、着陸できるのかな…」
マネージャーがTVをつけると、丁度ニュースで羽田空港が映っている。
「羽田…今着陸見合わせてるって…」
「うそぉぉぉ~~~!!!!」
エリザの絶叫。
「ちょっと羽田まで雪かき行ってくるっ!!!!」
と、本気で行きそうになるエリザを
「おま、馬鹿かっ。そういう問題じゃねえってっ!」
と、押さえ込みながら、ギルベルトはマネージャーに
「生放送だろ?ローデリヒが目玉なのにどうすんだよ?」
と、視線を向ける。
「ちょっと上に相談してきます…」
と、そこでようやく本番までの残り時間と事態の深刻さを危惧し始めたマネージャーは立ち上がった。
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