オーディション・その後
――そう言えば…フラン、どうやってアーサーにオーディション受けること承諾させたんだ?女装とか楽しくやるタイプじゃねえだろ?
――私物?どんなもん?なんでもええん?
――ん~~なるべくよく使うもの?坊っちゃんとの約束だからさ。
――え?!天使ちゃんとの?!何?天使ちゃん、親分の私物欲しいん?何がええ?!何でもやるよ?!!(心底嬉しそうな満面の笑み)
――えっと…ね、(ちょっと困った顔)坊っちゃん、たぶん彼女いる。彼女がトーニョのファンでさ。彼女のため…に?
――彼女…ねぇ…(黒くなる笑み)
――あの…トーニョさん?
――アイドルやからな。女はあかんわ。……別れさせな。
――(うあ~お兄さんやっちゃったよと言う顔)えと…あの……
――ああ、そんな顔せんでも約束してもうたんやろし、私物はちゃんとやるよ?何がええかな?最後の贈り物やしな。天使ちゃんが恨まれたりせえへんようにええもんやらな。
――……あの…トーニョ……
――仲間のドラマ、ユニットの成功のためやで?協力してな?………嫌とは言わへんよな?
――……はい(うあぁぁ坊っちゃんごめんよぉ~~~)
実母とは親友で自分にとってももう一人の母のような存在、そしてフランシスの母である女優フランソワーズ・ボヌフォワの同席のもと、見知らぬ大人に囲まれて契約書にサインをしているその頃のアーサーは、そんな居もしない自分の彼女との仲を破局させる話が話されているなどという事実は当然知るよしもない。
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