ガタンっ!と思わず立ち上がったアーサーに、フランシスはさすがにシ~っと唇に指を当てて、座るようにうながす。
あれって友情モンじゃなくて恋愛モノじゃねえのか?」
さすがに相手は芸能人、バレてはまずかろうと慌てて座ると、アーサーは声を潜めて聞いた。
それにフランシスはにこやかに頷く。
「うん、そう。都会に巣食う悪の組織と戦う青年と口のきけない少女の話ね」
うん、そうだ。そうだった。
演技でもアクションが得意なアントーニョはアクション系のドラマが多い。
今回は一応はヒロインがいて恋愛モノと言えなくはないが、やっぱりアクション主体だ。
「で?何に応募しろって?」
そこに自分のような男が応募する余地のある役があるのか?
あれか?敵か?敵のボス役か?
アントーニョに憎々しげに睨まれるのは悲しいが、でもあの褐色の温かそうな手に触れる事が出来る…のか?
まあ殴られるという形ではあるが……。
う~~ん……と真剣に腕組みをして考えこむアーサーに
「坊っちゃん、たぶんちが~う」
と、これも腐れ縁だけあって何を想像しているのかはなんとなくわかってしまったフランシスが呆れたように言う。
「アクションの敵役なんて素人から募集はしないからね?
あれはちゃんとそれ専門の俳優さんがいるの」
「え?じゃあなんだよ?」
敵のボスなら相手役と言おうと思えば言えるが、友人…だと相手役って言い方しなくないか?
考えこむアーサーにフランシスが苦笑する。
「現実見ようよ、坊っちゃん。相手役って普通ヒロインに決まってるでしょ?」
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