寮生はプリンセスがお好き4章_15

「ま、とりあえず全部見て回って取れる手段は試してみねえとイベント終わらないんじゃないかと思うし、俺ちょっと2階見て来るわ。
一応何かあった時の連絡係にルークも来い。
わかってっと思うけど、今は非常時。
お姫さんはどの寮のプリンセスでも自寮と一緒の扱いな?」


「はいはい、それはわかってる。
ここでつけこんだら多分どこぞで点数つけてる誰かさんにすごいマイナスつけられそうだしな。
死ぬ気で守るから安心して行って来い」

一応自寮のプリンセスが欠席という事もあって身軽な3年の銀虎寮の寮長が2年の銀竜寮の寮長の首根っこをつかんで2階への階段に向かうのに、同じく3年の金虎寮の寮長が気軽な様子でヒラヒラ手をふりながら応じる。

そうして30分。

「はい、終了。
廊下の窓も各控室の窓も試してみたけど、開けるの無理な。
ついでに各部屋で役に立ちそうなものもないか探してみたけどこれもなし。
2階の甲冑は動かず。
器物破損もどうかと思ったけど、ま、非常時っつ~ことで、手にしてた武器は外してもってきたんだけど、結構重いな、これ。
使える奴はそれ持って広間に特攻。
甲冑なぎ倒して広間調べて全部終わりだな」

2階から斧やら槍やら剣やらをひきずりながら戻ってくる寮長達。


「おー、お疲れ。
ま、サービスって事で1年坊主から選ばしてやるわ。
どれか選べよ」

相変わらず気楽な様子の上級生たちに苦笑しつつ、ギルベルトは大剣を、香は槍を選択。

「俺っ!俺も武器欲しいんだぞっ!!」
と、そこで主張するアルに、2,3年の寮長達は笑って了承した。

「おー、戦え、戦え!
軍曹だって現役プリンセス時代も他の寮の奴らシバキ倒してたしなっ。
かまわねえよっ」
と先輩達に言われてしまえば、いくらなんでもプリンセスとしては…と香が思ったところで止める事などできやしない。

不承不承
「やるなら他から離れてやって欲しい的な?
近づいて味方巻き添えにしかねないし」
と言いつつ、ため息をつく。

かくしてドレス姿で大斧をひっさげてアルも参戦する事になった。

「さあ諸君。
紳士らしく身なりを整えて…視界が悪くなりそうな仮面はお守り代わりに姫君達に預かって頂いて?
準備はよろしいかね?」

コホンとため息。

そう言って自ら仮面を取って自寮のプリンセスに預けると、金虎寮の寮長がにこりと他の寮長達に準備をうながした。

そこで各プリンセスの元に向かう寮長達。

「お姫さん、危ねえからフェリちゃんから離れないようにな?」
と仮面を渡しながらチュッと額に口づけを落とすギルベルトにアーサーはうんうんと頷いて見せる。

そして寮長達の元へ。

「さ~、じゃあドアを開けるぞっ」
と、金虎寮の寮長がドアノブを固定したベールを自らの斧でざっくり切り落とし、金銀の竜寮の寮長が両開きのドアをそれぞれ開け、金銀の狼寮の寮長がまず部屋に特攻する……と、部屋の奥には当たり前さきほどと同じ格好をしたバトラーの姿。

吐いた血で汚れたはずの衣装の染みもない。
どうやら着替えたらしい。

そして当たり前に笑顔。


「さあ物語は佳境、最後の選択です。
君たちは騙されて古城に連れて来られ…一部は毒殺。
生きた甲冑に追いまわされるも撃退に成功。
ここまでは良いとして、しかし城じゅうの窓は開ける事が不可能。
ドアも開かない。
そんな中でこの城の全てを支配する城主が登場して言いました。
さあ、諸君。
君達には生か死か、二つの道を選ばせてあげよう。
選択肢は簡単。
各寮で寮長か副寮長か、それぞれどちらかを生きてここから出してあげようというものだ。
それに対してどう答えるかね?
全員で生きて…とか、他の方法はという選択肢はないという事で答えたまえ。
そうだな…回答はせっかくだから新寮長2人で相談して決めてくれたまえ」



Before <<<    >>> Next


0 件のコメント :

コメントを投稿