と、その声にハッとしたように他に促すと自分もアーサーを抱え込むように甲冑を避けてドアへ走りだすギルに、他の生徒達も続いた。
全員が広間を出たところで最後に出た金虎寮の寮長がバタン!!とドアを閉め、自分のプリンセスのベールをねじって紐状にすると、それを両開きの扉のノブに結び付けてドアを開かないように固定した。
「…いったい…なんなんだよ……」
はぁぁ~っと一息ついて漏れる呟き。
「わっかんね。これやらせ?まさかマジもんじゃねえよな?」
「…やらせだとしたら…わけは?」
「知るかよ……」
プリンセス達は固まって座りこみ、金銀の竜寮の寮長が護衛する中、他の寮長達はエントランスを調べている。
「…さっきの甲冑ここのだな」
「ああ、来る時は左右にいたもんな」
と甲冑の確認。
その後入口のドアを調べて寮長達はため息をついた。
「…だめだ…出れねえ。
ドアは鉄だしな。そもそも取っ手がないし押してもビクともしねえ」
「そりゃそうだ。みたところこれ内開きっぽいし」
「2階の廊下とか控室には窓なかったか?」
「…鉄扉だった気がするぞ、窓」
「あ~、そりゃ駄目だ。無理だな」
「でも開けられないか試してみる価値はないか?」
「……2階の廊下にも甲冑並んでた気がするんだが…」
「…あーー……それな」
「そっちも襲ってくるかはわからんがな…」
「襲ってきたら廊下は広間より狭いし避けるのキツイな…」
「一か八か行ってみて試してみるか、このまま救助待ってみるか、2択か……」
「うーん……」
円陣を組んで厳しい顔で相談を始める寮長達。
こんな状況なわりには落ち着いた様子の面々に驚いているアーサーに、フェリシアーノは少し心細げに…しかし思いのほか取り乱すことなく微笑んだ。
「たぶん…今回から危機管理というか、脱出系のイベントになったみたいだね。
俺はこの手のものってディスプレイ越しにでもすごく苦手なんだけど、元々寮長になる人達ってほら、それなりに良いお家で英才教育されてる跡取り達だから、護身術とかも身に付けてるしね」
「あー…なるほど。そっか……」
そうだ、あまりに色々が急展開でこれが学校のイベントだと言う事が抜け落ちていた。
「うん、そう言う事だと思うよ。
ベストな選択をするかどうかをどこかで関係者が見てるんだと思う。
で、イベント終了になったらたぶん広間の中の死体役の人とかも普通に生きてて血糊も片付いてて、再度ごちそうが並んでたりするんだよ、きっと」
そう言いつつも、早く終わらないかなぁ…と大きくため息をつくフェリ。
その横ではアルが『悪趣味なイベントなんだぞっ!』と頬を膨らませている。
悪趣味…まあ確かに悪趣味だと言う事にはアーサーも同意だが、同時にこれが本当に起こっている事じゃなくて良かったとホッとした。
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