寮生はプリンセスがお好き4章_13

飲んですぐまた歓談に戻って行く生徒達。
そんな中で昔の話を聞こうとサースガードを振り返った数人がそのまま固まった。



「…え…ええっ?!!!」
シン…と静まり返る中、ドサっと言う音がする。

それに最初に驚きの声…そして次いで悲鳴をあげたのはフェリシアーノだった。

「サースガードさんっ?!!!…バトラーさん、医者をっ!!!」
その声に振り向けば口から血を流して目を見開いたまま倒れているサースガード。

それを見た上級生の誰かが叫んで視線をサースガードから丸テーブルの向こうに立っているはずのバトラーに向けると、バトラーも同様に倒れている。

プリンセス達が一斉に悲鳴をあげた。

「死んでるのか?!」
と、それを確認しようとギルが倒れているサースガードに近寄りかけた時、バン!と大きな音をたてて広間のドアが開き、ギィ~コギィ~コと音をたてながら甲冑が広間になだれ込んできた。


何が起きているのだろうか…
全てが現実離れしていて、理解が追いつかない。

そんな中で
「お姫さん、俺から離れんなよっ!!」
と、ギルはいち早くアーサーを背に庇い、他の寮長達もそれに倣う。

甲冑達がゆっくりではあるがそれぞれ手にした斧や剣を振り回してこちらへ近づいてくるのを見て、アーサーはすくみあがった。

動きが早くないので避けられないわけではないのだが、逃げようにも唯一の入り口である扉の前には2体の甲冑が陣取っているので逃げるに逃げられない。

「武器があれば2体くらいならなんとか出来そうな気がするんだが…」
と視線を室内に走らせているギルベルト。

「確かに。相手鉄だし?蹴っても殴ってもダメージ受けてくれない的な?」
と、香も太い眉を寄せて難しい表情だ。

「盾なら最悪殴られても死なないんじゃないかな?」
と、そこでいきなり口を開くアル。

「殴られるだけ殴られてどうする的な?」

と、呆れたように聞き返す香に答えず、アルはいきなり盾を持った甲冑にタックルをかますと倒れた甲冑の足を掴んでそれをブンブンと振り回しながらドアに待機している甲冑2体に向かって特攻した。


「「「ええええ?!!!!!」」」

ガッシャ~ン!!!と左右に吹き飛ばされる甲冑2体。

「早くっ!RunAway!!!」

「…すげえ…な、おたくのお姫さん」
寮長達が口を揃えて呆れかえった声をあげる。


「ナイス、アル!!!」
と思わずアーサーが叫ぶと

「見直したかいっ?!俺はヒーローなんだぞっ!!!」
と晴れやかにアルが笑った。



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