なんでも――主にロクでもない系の事だが――一緒にやってきたため、しばしば4人一組として一緒くたにされるが、伝説の武器に選ばれて特殊部隊になると、4人一緒に行動することもあるが、基本は二人一組。
なので今まではアントーニョとギルベルト、エリザとフランシスで組んで来た。
が、最終的にメンバーが集まれば4人バラバラにそれぞれに適したパートナーと組む事になる。
伝説の武器が敵を呼ぶのか、敵が伝説の武器を呼ぶのか……アントーニョ達が武器に選ばれた頃から急に激しくなってきた敵の攻勢。
その頃から地方都市にもチラホラ伝説の武器に選ばれた人間が出始めたらしく、武器が安置されているサンサークル寺院からあちこちに飛んでいったが、行き先がわからない。
一応各都市に触れはだしてみたものの、各都市にしてみれば、伝説の武器が使える人材を中央へ流出させたくないというのが本音なのだろう、今までは反応はなかなか返ってこなかった。
そんな中、つい先日他国から秘かに伝説の武器の使い手がサンサークルに入国したという。
一人は東の最果ての国の出身の、支援系の術と素早さを売りにした系の体術を得意とする青年で、もう一人は西の国の魔術師。
こうして新たに来た二人が前面に出て戦う系ではなかったため、今まで一緒だった4人の中で、とりあえずアントーニョとエリザの純前衛コンビがパートナーの対象になり、残り二人が当座一緒にコンビを組む事になった。
エリザは前者と、アントーニョは後者とコンビを組めと命じられて、アントーニョの機嫌は一気に急降下する。
前述の通り、彼は魔術師が好きではなかった。
「そもそも…従兄弟の兄貴が魔術やっとったけど、あいつらほんま役に立たんもん。
サボることしか考えてへん」
アントーニョは一時一緒に暮らしていた従兄弟の顔を思い浮かべて眉を寄せる。
身体を動かすのが好きで、学校に入る前は旧家である実家の広大な領土をマメに走り回っては領民の話を聞いたり、当主の息子のくせに時には自ら畑仕事を手伝ったりしていたアントーニョから見ると、自分よりも年上で身体も大きい居候の身でありながら涼しい部屋の中でただ書物を読んで一日を過ごす従兄弟はかなり怠惰に見えたらしい。
その従兄弟はアントーニョが学校に上がる頃にフラリと行く先も告げずにどこかへ行ってしまって行方不明というから、なおさらだ。
日々ダラ~ンとしながら『アンニュイやわぁ~』などと呟く従兄弟に、『お前をみている方がアンニュイじゃっ!!暇なら小さいのに畑の世話しとる子ども達の手伝いでもしとれっ!!』と苛ついていた日々は思い出したくもない。
あの魔術師達がよく着ているもっさりしたローブを見るだけでその従兄弟を思い出して腹が立つ。
しかも…一応パートナーが異性である事を配慮されて、バス・トイレ・キッチンなどは共同だが、それぞれに部屋が持てるようにと私室を二部屋用意されたエリザと違い、アントーニョは交流を持てるようにと、有無を言わさず、広いことは不自由のないくらいに広いものの仕切りのない1ルームに押し込められる事になったのである。
『あのもっさりと一日24時間顔突き合わせるとか勘弁してやっ!』と、苛つくのも道理であった。
「まあ…でもお前自身は魔術の才能0だからさ、いいんじゃない?
武器も支援系の能力もあるお兄さんのハープと違って完全攻撃仕様の斧で、じゃあプーちゃんみたいに武器が攻撃仕様でも多少の魔法の心得があって自前で防御できるかって言うと出来ないんだからさ。
まあ、パートナーに関しては俺らに選択権はないわけだし、仲良くしなよ」
そう言いつつアントーニョの部屋の1つ手前の部屋へ消えていくフランシスとギルベルト。
「どうしても無理っぽかったら、私のパートナーとチェンジするように頼んでみて上げてもいいけど…とりあえずしばらくやってみるだけやってみなさいよ。」
と、一応戦闘スタイルも似ていて負わされる部分も似ていたため、そこは同志としての情があるのか、少しなだめるようにそう言って、エリザもやはり自室へと消えていく。
仕方ない…。
とりあえず出来るだけ接触を持たないように別行動で…それでもどうしても目障りだったら、やはりエリザの好意に甘えよう…そう思いつつ、アントーニョはため息をついた。
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