「アーティ、こっちおいでや。」
ハグハグと両手を広げて呼べば
――仕方ねえな。どうしてもって言うなら…
と、口では素直でない事を言いつつ、それでも素直に寄ってきて腕の中に収まってくれる。
「あ~もうアーティかわええなぁ。ホンマかわええっ!
これからはずぅ~っと一緒やんなぁ」
グリグリと腕の中の愛し子の頭を撫でてやれば、――俺は犬ネコじゃねえ――とぷくりと膨れるものの、その手を払うどころか、スリっとすりよってくるあたりが、もうキュンキュンだ。
「どうなってるの?」
いつもどおりの笑みを浮かべようとして失敗し、ヒクリと唇の端をひきつらせながらそう言うフランスに、スペインに抱え込まれたイギリスの様子を微笑ましげに見守っていた日本が
「フランスさんのお宅を出奔なさってからイギリスさんはスペインさんのお宅に逃げ込んで、親切にかくまわれて交流を深められ、最終的に行く末を固く契られたそうですよ。」
と、にこにこと説明を加えた。
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