The escape from the crazy love_6_4

帝国様の逆襲

「…これでいいのかよ?」

スペインが自宅に戻った翌日…すっかり馴染んだ兄に釣られるように警戒心を解いたイタリアも一緒にイギリスがスペインの大きなベッドでクルン兄弟と3人でシェスタ&日本がそれを鬼の勢いでスケッチ中、1日姿を消していたプロイセンが戻ってきて、リビングのテーブルの上に封筒を滑らせた。

「…これが…例の物か…」
と眉をひそめるドイツ。

「あ~、親分いまスペインブーツとハルバード磨くのに忙しいねん。
確認したって?」
と、ハルバードの手入れをしながら言うスペインにドイツは虚ろな目でうなづいて封筒を手に取り中身に目を通すと、ウッとまた青くなる。

「ちょいヴェストはそろそろ勘弁してやってくれ、俺様がその分協力すっからよ」

年季の入ったハルバードまではとにかくとして、その後中世の拷問道具のオンパレードを目にしていい加減限界が近づきつつあったところに目にしたのは、プロイセンがフランスの自宅にあったイギリスの私物と隠し撮り写真のオンパレードのリアルストーカーの粘着部屋の写真をさらに写真に写しとったものだ。

「なんや、自分ら拷問大好きっ子やないの?」
にこやかに言うスペインにプロイセンは少し眉をよせる。

「プレイならとにかく、本物の拷問に関しては別に好きな訳じゃねえんだけどな。
そもそも中世の宗教がらみの拷問は生々しすぎんだよ。
特にお前んとこマジ容赦ねえし」

ドイツの手から写真を取り上げてプロイセンは慰めるようにクシャクシャっとその頭をなでたあと、ところで…と、今度はスペインに視線を向けた。

「これ…どうすんだよ?」
ひらひらと写真をかざすとスペインはにっこり微笑む。

「もちろん!追い詰めるための証拠やで?
いくら拷問道具並べて刃物振りかざして脅したかて、大義がないと落ちへんやん」

うあぁぁ~~とプロイセンは嫌な顔をする。

近年の角が取れて丸くなってからのスペインしか知らない弟は、まるで夢の中をさすらっているような目をし始めたので、

「ヴェスト、とりあえずイギリスやイタちゃん達起きた時のおやつにクーヘン焼いておいてくれ」
と、弟をキッチンへと追い立てて、

「おいおい、俺様の弟をあんま人間(国)不信にしてくれんなよ」
と、スペイン自慢の拷問道具をなでながら、口をとがらせた。

「え~?親分なんもしてへんやん。
しとるんはどこぞのクソ髭とメタ坊ややろ?」
心外…という顔をするスペイン。

画策…という意味ではフランスの比ではないが、物理的なプレッシャーと暴力、破壊については、ヨーロッパでこの男の右に出るモノはいないのではないだろうか…とプロイセンは思う。

正直…いったんスイッチが入ってしまうと、理性や良識、後先など全てかなぐり捨てて全てを度外視で…もういっそのこと暴走といって良いレベルで敵の排除に情熱を燃やすこの男がスイッチオン状態の時に敵対するのは御免被りたい。

えげつない画策はするものの、最低限自分の保身や後先を考えて行動するため、ある程度行動の範囲や限界が読めるフランスの方がまだマシだ。

…っていうか…俺様の周りってなんでこんな厄介な奴らばかりなんだろうな…と、プロイセンは遠い目をして思った。



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