お兄ちゃんスイッチが押されたようです
「うちの身内に随分とふざけた真似してくれんじゃねえか。
急所銃で撃ちぬくのと先端にナイフねじ込むのとどっちにすっかな」
食事が終わり、イギリスからスペインに話したのと全く同じ事情を説明されると、ロマーノはそう言って手の中でナイフをクルクルと弄び始めた。
いつもなら真っ先に抱きつく兄が恐怖の対象となっているので、日本に抱きついて泣くイタリア。
抱きつかれた日本は目をキラキラさせて
「さすがに帝国様が育てたマフィアの国ですねっ!
黒い親分と黒い子分、ダブル黒分!
新境地に足を踏み入れた気分ですよっ爺はっ!」
と、一心不乱にメモを取り始めた。
そんなロマーノの豹変ぶりに当のイギリス自身も当惑を隠せず、
「お…お前…俺の事嫌ってたんじゃねえのか…」
と、おずおずとロマーノに視線をむける。
嫌われている…自分で言った言葉に若干傷ついて潤む子どものように大きな丸い目で上目遣いに視線を送られる事で、ロマーノのお兄ちゃんスイッチが連打され、お兄ちゃんゲージがドンドンとたまっていった。
やばい…俺お兄ちゃんしてるよなっ。マジしてるっ。
どんどん勢いをつけて高揚する気持ち。
「別にもともと嫌ってたわけじゃねえけど…お前は俺の身内になったんだし、身内は身体はって守るもんだろうがっ」
少し照れて顔を赤くしながらもロマーノがそう言うと、
「…お前…そういうとこ、やっぱスペインのとこで育てられた人間だよな。
なんつ~か…漢ていうか……いざという時は頼れるっつ~か…」
と、こちらも少し照れたようにうつむきつつ言うイギリス。
――チーン!!!弟キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ロマーノのお兄ちゃんゲージが振りきれた瞬間だった。
「おうっ!スペインの野郎もそのつもりだし、俺だっているしなっ!
絶対に変態髭男や新大陸の若造になんか指一本ふれさせねえから、安心しろっ!!」
キラリと白い歯を見せつつ親指で自分を指差す様子は、まんまラテン男、スペインのノリだ。
全く似てないようでいてやはり染み込んでいる育ての親の気質が、ある一定のラインを超えると出てくるらしい。
――ねえ…日本……兄ちゃんが遠いよ……
うつろな目でパタパタと白旗を振るイタリア。
それに対して日本は
――大丈夫っ!遠ければあなたが近づいて行けばいいんですよ?イタリア君っ。
と、いい笑顔で言ったあと、イタリアを振り返って
「あとあなたが加われば…ラテンズ×英で新刊が出せます」
と、その肩をガシっとつかんだ。
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