The escape from the crazy love_2_3

と、そこまで話が進んだ時、スペインはとうとう好奇心を抑えきれず聞いてみた。

「なあ、自分ほんまオカズの意味わからんかったん?」

曲がりなりにも世界会議にそういう本を持ち込む男である。
ありえないだろうと思って聞いてみると、イギリスは耳まで真っ赤に染めて

――あとでクソ髭に聞いて今は知ってるぞっ。
と、泣きそうな顔で俯いた。

(あ…なんか、かわええ……)
そんな時ではないのだが、思わず心の中でつぶやくスペイン。

なんなんだ、この純真な子どものような反応は…。

「オカズにせんかったら、自分なんでそんな本なんて常備しとるん?」

さらに聞いたら

――あいつらと同じ事聞くな!
…単に…ストレス溜まる場所では綺麗なモノみてたいじゃないか…。
裸婦の画集なんてかさばるモン持ち歩けねえし…悪いかよ…

と、とうとうポロポロ泣き出されて、スペインは脱力した。

「あ~、悪うないよ、堪忍な。
通常そういう目的で使う奴がほとんどやから何でやろって思うただけで他意はないねん。
親分が悪かったわ。泣かんといて?」

一旦車を停めてよしよしと頭を撫でると同時に飴を口に放り込んでやると、黙ってコロコロと口の中で転がしている。


確かに…オカズ的な目で見ているなら、あんなものを見ていたら会議にならないなと、今更ながら納得をする自分がいた。

なんだろう…話せば話すほど、今までイギリスに持っていた認識がストンストンと剥げ落ちて行く。

なんや、こいつ結構かわええやん…

合理主義者でいつでもすましてて皮肉屋で…という印象が剥がれ落ちたあとに残る怯える子どもの顔に、スペインの親分的な何かがきゅんと刺激される。

それが裸な姉ちゃんなあたりはどうかとも思うのだが、綺麗なモノを見て会議の緊張に1人耐えていたのかと思えば、なんだか可哀想な気にもなってきて、今度からは声をかけてお菓子の一つでも渡してやろうという気になってきた。

幼げな顔に涙をいっぱいたたえて、ふっくらした頬はスペインがやった飴でまるでリスの頬袋のようにふくらんでいて、なんというか……ああ、もう正直に言おう、めっちゃかっわかわええ!と言った感じだ。


そんなスペインの心境の変化はともかく、イギリスの話は更に進んでいった。





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