ぺなるてぃ・らぶ_Verぷえ_6

――アルト、飯だぞ~。今日は会議なんだろ、そろそろ起きねえと……

漂ってくる良い匂い。
伊達にドイツ邸の自宅警備員を名乗っていない。

ドイツ邸の自宅警備員からイギリスの世話人になってもう半月になる恋人は、実際に完璧に家事をこなしてくれていた。



始まりはフランスとの賭けだった。
――誰か国体に告白してOKをもらってくる事…

国づきあいが宜しいとは言えないイギリスに取って非常に高いハードル。
さらに英連邦やポルトガルそれに日本と、仲の良い国はダメと言う念の入り用。

もう無理なんじゃないかと内心思いつつもフランスに馬鹿にされるのが癪で出来ないと言えず悩んでいたところに、たまたま更新を告げるプロイセンのブログ。

それでダメ元で言ってみたらOKをしてもらえて…しかし気づいたら何故か結婚を前提にお付き合いすることになっていた。

そう、彼はおちゃらけているようでいても、あの気真面目なドイツの兄ゲルマン民族だったのだ。

こうしてドイツが戻るまでの数日はドイツ邸で過ごし、ドイツが戻ってくるといきなり婚約者として紹介される。

え?ええ??と動揺したのはイギリスだけ。
意外な事に、兄からいきなり知人だった男を婚約者として紹介されたのに、ドイツは普通に驚く事なくそれを受け入れて、むしろ兄を宜しく頼むとまで言われてしまった。

それどころかプロイセンが請け負っていたドイツの国内の仕事をイギリス国内でもできるものに切り替えるので一緒に暮したらどうだとまで言ったのもドイツである。

こうして何故かプロイセンは現在イギリスの家で暮らしている。
そして自宅でできる仕事をしながら家事全般を請け負ってくれているのだ。



しかし…実に気恥かしい事に、“結婚を前提とした交際”には、当然恋人としての諸々が付いて回っている。


まず指輪。

それは付き合い始めて2日めにプロイセンに連れて行かれた宝飾店で、デザインは一緒だがイギリスにはプラチナにルビーが埋め込んであり、プロイセン自身は金にペリドットが埋め込まれている指輪を購入され、付けさせられている。

それだけでも十分イギリス的には気恥ずかしいのだが、きちんとそれ用にスケジュールが組まれたコースを辿るデート。
当たり前にかしずかれるようにエスコートされて、歩く街並み。
何かにつけて降ってくる甘い口づけ。

お前ゲルマンだろ?
こんなキャラだったか?
と、思わず突っ込みたくなるくらい、プロイセンは日々完璧に恋人をしている。

――俺様もともと貴人にお仕えする騎士だぜ?

と言われれば、まあ納得しないでもないのだが、イギリスの一生の中でここまで大切に扱われた事はないので、未だその扱いに慣れずにいる。

そして…もう一つ未だに慣れないのが、まあ…なんというか…夜の事…である。

――遊びじゃねえしな。最後まですんのはもっと交際期間を経てちゃんと結婚してからな?

と言いつつも、それでは全く何もしないかと言うとそうではなく、最初は一緒にベッドで同衾するだけから始まって、少しずつ少しずつ…最近は一方的に愛撫をされて啼かされて意識を失うまで何度も一方的に登りつめさせられて朝を迎えている。

まあ…なんというか、疲れきって落ちるように眠りにつくので、ぐっすり眠れてはいるのだが…もう朝は居たたまれない。

それなのにイギリスをそんな風にするプロイセンは、朝になると夜のことが嘘のように晴れ晴れとした顔で、朝食を片手にイギリスを起こしに来るのだ。


日々恥ずかしい。
居たたまれない。

プロイセンとの事を知らない国民との仕事ですらどこか自分が変わってしまったようで恥ずかしいのに、今日は事の発端となったフランスとの会議とか、もうありえないと思う。

会えば絶対にどうなったか聞かれるだろうし、そうなれば話さざるを得なくなる。
話せば…プロイセンとの色々を思い出してしまうし、そんなところをフランスにからかわれるかと思うと屈辱だ。

なのに昨夜も思い切り啼かされて、あまつさえ見えるところに痕をつけるなと言ったら、

――見えねえとこならいいんだろ?
と、見えはしないかもしれないが、随分ときわどい恥ずかしいあたりにたくさん赤い痕をつけまくられた。

そんな風に服の下にたくさんの痕をつけながら会うかと思うと、本当に羞恥で卒倒しそうだ。


そう言ったらさすがにやりすぎたと思ったのか、プロイセンは

「ああ、じゃあ会議が終わった頃、俺様がタイミングはかって迎えに行ってやるから」
と、それにイギリスが弱いと知っていて、くしゃくしゃと頭を撫でてくる。

それでもう許せてしまう自分は本当にどうしようもないと、イギリスは思うのだ。


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