迷探偵ギルベルトの事件簿後編6

「まず…最初に今回の旅行にジェニーがギルベルト君を誘った経緯から。

私の従兄弟の小川太一がジェニーに好意を持っていて、ジェニーの方もそうだと信じ込んでいたので、誤解をとく目的で自分には交際中の相手がいると言うことを証明するため、自分の交際相手を同行するという事だった。

ところが後日そのジェニーと一緒のあーちゃんに一目ぼれ。

そこであーちゃんを誘ったら彼氏と友人付きならOKということで、トーニョ君とロヴィーノ君も参加する事に。

ということで塾仲間の中田も含めて計9名で小川家所有の別荘、つまりこの家に泊まる事になった。

人間関係としては私と太一は従兄弟同士。亡くなった紗奈は当初太一に片思い。

太一はジェニーに片思い…最もこれは太一は両思いと思っていたけど…。

そして当のジェニーは交際中であるギルベルト君がいる、トーニョ君とあーちゃんはカップルで、ギルベルト君とロヴィーノ君はどういう意味合いでかはわからないけど非常に親しい仲。そういう感じ」


アントーニョを含めた他とは少し違う女性らしい感情面を加味した瞳のアプローチの仕方に、一同は興味深げに耳を傾けている。


「ところがこちらに来る前にたまたま街中でジェニーと一緒だったあーちゃんに太一が一目惚れ。
現地集合で全員この家に集合した時、太一の気持ちがそれたということで安心してギルベルト君との交際が嘘である旨をジェニーが告げて、さらにそれまでは太一に惹かれていた紗奈が、ギルベルト君を一目見て気に入ってしまったらしく、一般の友人としては逸脱したレベルで接触を取りたがった。

当のギルベルト君は紗奈よりロヴィーノ君といたいと明言

私は旅行でそういう揉め事も嫌だったから、貸し借りしていたCDをそれぞれ交換するという名目でそのまま紗奈の部屋に行って注意したけど、元々他人の言うことに耳を傾けるタイプではないから、あまり聞いてもらえなかったように思う。


その後…居間で全員合流。

この家は元々私と太一の祖父の別荘で、相続したのが太一の父ということで小川家の所有物となってますが、私も祖父の生前はよく来ていてかつてはよくわかっていたから、調理とか諸々に詳しくない太一の代わりに事前準備は全て私がやっています

だから、夕食の支度はそれを考慮して私を除く誰かという事で、立候補したロヴィーノ君と紗奈でやるという事になった。

私はギルベルト君を誘って箱買いして荷物置き場に放置したままだった飲み物を運ぶ事に。


しかしそんな感じで紗奈が少しロヴィーノ君に敵対的な状態だったから、二人きりにするのが少し怖くて、ジュースの支度とかにかこつけて様子を見に行ったわ。

その時はそれほどもめてる様にも思えなかったけど、直情的な紗奈はとにかく、ロヴィーノ君は直接の知人ではなく性格もわからないから、本当のところは不快に思っているかいないかよくわからないと個人的には思ってた。

それで二人にジュースと氷を持っていってもらってる間にキッチンをざっと見回して、放置してあった、万が一揉めた時に危なそうなピックとか包丁とかを優先的に洗って片付けといた。

もちろん…そういう意味で危なそうだからというわけにもいかないから、一応洗ったら片付けようという感じに言葉をかけて、他の洗い物も洗っておいたけど。


その後夕食の時も紗奈はギルベルト君にちょっかいかけてあしらわれた事で拗ねて途中で部屋に戻った。
トーニョ君の話の通り、生前の紗奈を見たのはこれが最後よ。


別に放置でも良かったんだけど、あの子短気だし、部屋の物品とかにあたられても嫌だなぁと思って、本当は太一に見に行かせようと思ったんだけど拒否され、唯一食事が終わっていたロヴィーノ君が見に行ってくれるというので、お願いしたわ。

でも30分ほどしても戻らないから、もしかして何かあったのかなと、私も後を追ったの。


私が二階に上がると紗奈の部屋のドアが開いていて、その明かりの消えた部屋の前でロヴィーノ君がオロオロしていたから、どうしたのだろうと思い、『どうかしたの?』と声をかけたわ。

ロヴィーノ君は驚いた様子で『どうしてここに?』と聞くから、二人が揉めていたらと思ってと、隠すことでもないのでそう正直に伝えたの。

そのついでに部屋をのぞいたら、床にピックの刺さった状態で倒れた紗奈の死体が見えたので、ロヴィーノ君に救急車を呼んで、下のみんなにも知らせてくれるように頼んで、私自身は紗奈の部屋の前で他を待つことにした。以上」


今の説明する口調といい、死体を見つけた時の行動といい、自分と違って本当に冷静だ…とロヴィーノはまた感心する。



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