恋人様は駆け込み寺_10章_3

こうして3月。
あの騒動から5ヶ月ほどたった頃、アントーニョの元には祖父からメールが届く。
大好きな大好きな祖父から、しかし内容はエンリケの近況で少しがっかりはするものの、

――こっちで同じく孤児院にボランティアで来てる2歳下の子と仲良くなってな。その子も色々出来た子でアイツの事をやたらとたてて頼りにしてくれるから、こっちは日々楽しそうにやってるから心配すんな。

と、とりあえず問題が解決した事をアーサーにも悪友達にも報告して安心させてやれるので、よしとする。

来春からは、どうやらエンリケがいるから…と、わざわざ子ども達を別の学校に通わせていた伯父が、どうせなら大学卒業まであと5年、従兄弟同士仲良く通わせてやろうと、ロヴィーノとフェリシアーノの双子をこちらの学校に転校させるという話になって、めでたしめでたし、さらに楽しい学校生活になりそうな予感に、悪友3人とアーサーは、今日も残り少ない今年度の学校生活に勤しむのだった。











………318日…最後の報告メールから1週間後…

【自分だけは死んでも許さん…。
…絶対…裏切り者ともども絶対に…悪魔に身を売ってでも呪ってやるわ。
…覚悟しとき…】

ギルベルトの元に届いた1通のメール。
送信元のアドレスは見覚えがないものの、その文面はどこかで見た文面で…残念ながら心当たりもありすぎる。


そして同時期にアントーニョの元にも祖父からのメールが届いたのである。

【悪い…エンリケが姿を消した。
例の坊っちゃんな…そこそこの家の子で、その子の手配で今いる国の外に出たらしい。

行き先は多分……日本だ…。】





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