「……なんで?…なんで俺にだけなんもないん?
神様は不公平や…神様なんて信じられん…。
いつだって欲しいモンはアントーニョやフェリシアーノ、ジジイとか、神様が偏愛しとる奴らに全部与えられるんや…。
1つでええねん…たった1つでええのに、俺にはなんも与えられん……」
待ち合わせ前に一度放送室に来て、こっそり放送をオンにしていたため、生徒はだいぶ下校はしていたものの、教師達は全てを聞いて、慌てて放送室前に集まっていた。
一人はアントーニョが寄り添うアーサーを保護し、一人はエンリケが放送室に叩きつけたファイルを回収し、一人はギルベルトに付き添い、一人は床に放り出されたカッターを拾い、二人がもはや抵抗もしないエンリケを拘束し、他の教師は部活などで残っていて放送を聞いて集まってきた生徒達を押しとどめている。
「…とりあえず…別室に…」
と、生活指導の教員が関係者一同を促した時、群がる生徒達の間からざわめきが起こった。
「ちょ、通してくんねえか。」
と言う野太い声は、どこか聞き覚えがある。
思わず振り向いて、アントーニョが叫ぶ。
「爺ちゃんっ?!なんでこんなとこにおるん?!!」
その言葉に教師の一人が合図をし、生徒に混じっていた初老の男をこちらに通す。
「昨日な、ロデに連絡もらって駆けつけたんだけどな…ちっとばかし遅かったか~」
と、苦い顔で頭をかく男。
「保護者の方…ですね?」
との言葉に、
「あ~、こいつらのジジイです。今回はホント迷惑かけちまいまして…」
と頭をさげると、
「とりあえず…ここではなんですので、別室で…」
と、男、祖父も同行することになった。
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