大急ぎで自分も抜いて、アーサーの下着を手洗いして洗濯機に放り込み、アントーニョはリゾットをレンジで温めて再度寝室へと戻った。
そしてベッドの上でホワンとした表情で放心した状態のアーサーに
「スッキリしたところで飯食おうか~」
と、なるべく何気ない風に声をかけたら、真っ赤な顔でブランケットの中に逃げ込まれた。
まるで初めて夜を共にしたあとの可憐な少女のようだ…と内心萌え悶つつも、そこはそのままにしておくわけにもいかないので、アントーニョはベッドに腰をかけて、ブランケットの上から頭であろうあたりを軽く撫でてやる。
その上で
「どないしたん?飯食おう?」
と、自分的に出来るだけ優しい声音で声をかけると、ブランケットの下から嗚咽が聞こえた。
「堪忍な~。さっきの嫌やった?
単に毎度下着汚すのも大変やと思うてやったんやけど…嫌ならもうせえへんから、許したって?」
と、さらに言うと、ブランケットの下の頭がふるふると揺れる。
そしてシャクリをあげながら答えるか細い声が聞こえた。
「…あんな…変な声出して……恥ずかしい……」
(うああぁああ~~~!!!!)
アントーニョは心の中で絶叫する。
(かっわ可愛ええぇぇ!!!!どこの深窓のお姫さんやっ!!
どんだけ可愛えぇねんっ!!)
頭を抱えて悶えつつ思う。
これはなんというか…好みのツボにストンとはまりきった感じだ。
相手が女の子なら今すぐ婚約指輪を買いに走っているレベルである。
まあ男でもアントーニョ自身は気にはしないが…。
――完全にミイラ取りがミイラになってるな…
と、ここにギルベルトでもいたなら冷ややかな視線を送っているところだろうが、幸いにしてここにはアントーニョとアーサーしかおらず、アーサーはブランケットの中だ。
誰も怪しいレベルで笑み崩れるアントーニョの表情をみることはない。
(ああ、可愛え!これはもう親分が守ったらなあかん親分のお姫さんやっ!!)
そう思えば祖父譲りのラテンの血が燃え上がる。
「変とちゃうよ。めっちゃ可愛かったで?可愛すぎて親分クラクラしてもうた。
あ、でももちろんアーティが嫌がるならなんもせえへんからな?安心し?
お姫さんを怖がらせるもん全部から守ったるって決めたんや。
せやから自分自身がお姫さんが嫌がる事なんて誓って絶対にせえへん。
お願いやから…怖がらんといてな?Te amo.」
少し身を屈めてブランケットから少しだけ出ている金糸の髪を一房手に取って口付け、
――な、出てきたって?お姫さんのためにめっちゃ美味いリゾット作ってんで?
と、甘い声で囁やけば、おずおずとブランケットの中から涙をいっぱい湛えたベリドットが見上げてくる。
「どんな理由かて、今は恋人同士やろ?大事に大事に甘やかさせたって?」
と、どうやら軟化したらしい態度に、ゆっくりとブランケットをめくってその細い身体を支えて座らせると、アントーニョはトレイを置いておいた勉強机からベッドサイドの小さなテーブルへと移動させた。
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