GoWest-APH西遊記-弐の巻_13

そんなアントーニョの葛藤を遠目で見つつ、

「とりあえず…牛魔王は退治したし帰ろうか…」
と、自分は戦ってないし汚れていないから…と、自らが着ていた長衣を脱いでアーサーに提供するフランシス。


代わりにとアーサーが差し出した破けた服も妖怪の血にまみれたアントーニョの上着も嫌だと言い張るので、アーサーはどこから見つけたのか針箱を出して、寝台のシーツをちょきちょきと切って

「せめて隠すモン隠しとけ。そんなん晒したら迷惑だ。」
と、どうやってかそれで作ったらしい綺麗な赤いバラの造花をフランシスに差し出した。

これは随分とフランシスのお気に召したらしい。
元々露出癖のある男ではあったが、これから先は、全裸になっても股間だけはそのバラで覆い隠すようになった。

「とにかく帰るで」
と、アーサーを抱き上げようとするアントーニョ手を、しかしアーサーは拒んだ。

「…?なん?」
「いや…その…俺汚れてしまったから…」

ブッフォ~~!!!と、半分身を乗せた寝台の赤い布地を、慌てて自らの鼻を押さえたアントーニョの手の隙間から垂れる赤い血がさらに濃い色に染めていく。

え?ええ??と、その様子につい寸前に自ら近寄る事を拒んだアーサーは慌ててにじり寄ってきた。

「トーニョ?!どうした?!どこか怪我してるのかっ?!それともこの唾液ってやっぱり何か毒みたいな物が含まれてたのかっ?!
食うと言いつついつまでたっても噛み砕かないで“体中べろべろ舐めまわしてた”から何かあるのかと思ってたけど……」

「坊ちゃん…坊ちゃん黙ってあげて。やめたげて。悟空のHPはもう0だから。
坊ちゃんが黙ってくれたら復活する。大丈夫。少し黙って」

と、救出に来た時の押し倒され押さえつけられて舐めまわされていたアーサーの状況やその後のなんともあられもない格好などを思いだして、妄想の海でおぼれているであろうアントーニョを救出しようと、フランシスが口を出すと、アーサーは不思議そうに小首をかしげる。

「…まだ少し時間がかかるようだし、山の麓の入り口で合流な。
俺様ちょっと確認したい事があるから外す」
と、そんな様子を見たギルベルトがそう言って部屋を出ていずこへか去って行った。



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