GoWest-APH西遊記-弐の巻_11

「そっちも片付いたん?こっちも終わったで~」
驚いた事に雑魚とは言え、アントーニョはあれだけ数のいた敵をもう倒し切ったらしい。

「はよ、アーティ助けに行かな…」
と、アントーニョはギルベルトの返事も聞かずにその横を通り過ぎ、一路ドアを目指してドアノブに手をかけた…がっ……



「なんや、これっ!!」
と叫ぶアントーニョの声にドアの向こうを覗いてみれば、見覚えのある部屋とドアのすぐそばにはフランシス。
そして遠くに見える奥への扉の所にはアントーニョが見えた。

「どうなっとるん?!」
と、危険だからと止める間もなく迷わずドアをくぐるアントーニョだが、今度は入口すぐ、フランシスの横に出る。

「自分…ほんものか?」
と、いきなり手を伸ばしてフランシスの髭を数本引っこ抜くアントーニョに悲鳴をあげるフランシスを取り残して、今度はギルベルトの側へ。

「自分…ほんもののギルちゃんやんな?」
「…おう……これは…ループすんのか?」
と、眉を寄せるギルベルト。

「ループでもスープでもなんでもええわっ。早くアーサー助けに行ったらなっ!!」
と、またドアに向かってアントーニョは走りだしたが、ドアをくぐればやはり入口へと出てしまう。

それでも諦めずに何度目かぐるぐるしたアントーニョの腕を、ギルベルトがガシっと掴んだ。

――道に困ったら、これ使いなよ?

あの牛魔王の息子の顔が脳裏に浮かんで、ギルベルトは懐にしまっておいた水晶のような小さな球体を掌に乗せる。

「もしかしたら…これが術を解く鍵なのかもしれねえ…」
と、フランシスも手招きをして呼び寄せ、二人に自分に触れているように言うと、自身はその球体をドアにかざした。

ぐにゃりと歪む空間。

それが再度しっかりとしたものに感じられるようになった時には、3人は目に痛い真っ赤な部屋に佇んでいた。

…いや、正確には佇んでいたのは二人だけで、約一名はつくやいなや、武器を振りかざして部屋の奥へと突進していた。



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