GoWest-APH西遊記-弐の巻_1

「暑いな……」

ジリジリと照り付ける日差しに、アーサーの金色の髪は白い額にべったりとはりつき、体中に汗が伝う。

「本当に暑いね。坊ちゃんそんな恰好してるからなおさらでしょ。
もう脱いじゃえ脱いじゃえっ。お兄さんももう脱いじゃう♪」

と、その様子にそれまでぐったりと足を引きずるように歩いていたフランシスがいきなり元気になって自分もガバっと着物を脱ぎつつアーサーの袈裟に手を伸ばすと、次の瞬間、如意棒が伸びてきて、腹に抱えた着物ごと、フランシスを砂漠の砂の上に吹き飛ばした。


「死ぬか?自分死にたいんやんな?!」
あまりの熱さに自分も汗だくになり目を据わらせながらそう言ってさらに追い打ちをかけようと如意棒を振りかざすアントーニョを止める気力すらもうないアーサーは、虚ろな目で

「ああ…でも少しだけ脱ぐか……」
と頭巾に手をかけるが、揉めるでもなく手を出すでもなくアーサーの隣を淡々と歩いていたギルベルトは

「これだけ日が強いと、直射日光に当たる方がより暑いからやめておいた方がいい」
と、その手を静かに止めると、仕方ねえ、とっておきだ…と、何やら印を結んだ。

途端にアーサーの上にだけ出来る小さな雲。
それはかすかに日差しを和らげ、本当にわずかな雨とも言えない、霧雨程度の水を降らした。


おお~~!!!と感心する一行。

しかし感嘆と共に期待の目を向ける二組の同僚の視線に気づくと、ギルベルトはむっつりとした表情で言い放った。

「三蔵様限定だ。俺だって水系妖怪とはいえ、この水気の全くない砂丘でこれを出すのは楽じゃねえ。人間の三蔵様と違って、てめえらは多少乾こうが死にゃあしねえだろうがっ。気合と根性で我慢しやがれっ」

そう言われて
「あ~、親分もなんかそんな術あったらアーサーに何かしてやれたのに…筋斗雲も自分以外乗れへんしなぁ」
と、素直に諦めて逆に自分に出来ない事を出来るギルベルトに恨めしげな視線を向けるアントーニョ。

その一方でフランシスは良い事を思いついたっ!とばかりに
「じゃあお兄さんぼっちゃんの側にいようかなっ。そうしたら涼しさのお裾分け受けられるよね」
と、アーサーに引っ付きかけて、次の瞬間、般若の形相のアントーニョが如意棒を振り上げて殴りかかる前に、

「暑苦しいっ!!」
と、叫ぶアーサーに蹴り飛ばされた。




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