GoWest-APH西遊記-壱の巻_1

――孫悟空、俺の護衛として天竺へ来い。

まっすぐ見つめる大きなオリーブグリーンの瞳。
差し出される透けるように白く折れそうに細い手。
そして…強い意志を持った綺麗で…でも脆く危うさをも感じさせる魂。

キュンと胸が高鳴ったあと、ズキンと心の奥が痛む。
それは500年ぶりの感情の揺れだった。


ああ…この時を待ってたんや…

悟空は泣き出しそうな気持ちを堪え、フン!と体に力を入れる。
その動きに、岩がミシミシと音を立て、ガラガラと小岩が落ちてきた。
それにも構わずさらにちからを込める。

ドッカ~ン!!!
大きな音と共に、悟空の上にあったはずの山が音をたてて割れ、大きな岩の塊へと形を変えた。
そして、ずっと敢えて身体の上で放置したままだった山であったこの岩の塊を軽々と跳ね除けて、孫悟空は飛び起きた。

解放されるまでもなく自力で封印を破った悟空に、まん丸の目をさらに丸くして硬直する可愛らしい少年僧。
その差し出したままの手を、もう離すまいとでもするように、悟空はしっかりとつかむ。

そして…

――ええでっ!天竺でも天国でも、どこでも一緒に行ったるでっ!
と、燦々と降り注ぐ太陽のような満面の笑みで悟空が応えた事で、物語は始まるのである。
そう、少年僧と護衛3匹による、はるか西へと向かう長い長い旅の幕はこれをもって開いたのだった。


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