「俺とポルの同盟は1373年から続いてる」
「おん、知っとるよ」
「その間な、ポルと特にそういう関係を持った事はないんだ」
「……」
「でもな、あいつはマカオに出会ってすぐそういう関係になっている」
スペインが片手を顔にあててうつむいて息を吐き出しながら
「それ…ポルトガルが言うたん?」
と、聞くと、イギリスはごくごく当たり前に言った。
「いや、香港から聞いた。
正確には…ポルと付き合い始めたマカオから香港が、俺からポルと付き合うにはどうしたら喜ぶのかとか色々聞いて欲しいと頼まれたらしくてな」
――兄ちゃん…ご愁傷様や。これ絶対に外堀を埋めようとされてたんやで?あそこの一族色々結束硬いしな…。
「だから、ポルの恋人とかと話をした事ないからそういう意味ではわからないけど、って、とりあえず好きな食べ物とか教えといた。
そしたら香港が『イギリス、あんたポルトガルと付き合い長いし、夫婦みたいなものじゃない的な?』なんて冗談いうから、『ありえないだろっ。お前が中国と寝るくらいありえないって』なんて冗談返したら『それマジ気持ち悪いからっ。ありえねえからっ。』って、普段ポーカーフェイスのあいつが珍しくすげえ嫌そうな顔してさ…」
と、楽しげに笑うイギリス。
いや、思い出したって。
ポルトガルはついさっき自分と伴侶になりたかったんやってカミングアウトしたやん…と、スペインは記憶力は異様にいいくせに自分に対する好意だけは揮発性で即忘れる恋人様の言葉に、さすがにポルトガルに同情した。
いや…確かに好きな相手おるのにバレるようなあたりで別の相手にちょっかいかける兄ちゃんもうかつやけどな…。
もう色々窮地なんじゃないだろうか…。
昔ならいざしらず、今中国は経済大国だ。
中国のブラコンは有名な話だし、それの長子みたいな相手に手を出しておいて、あれは遊びでした、他の相手とつきあいますなんて言ったら、色々終わる。
かといって忘れようとイギリスと離れられるかというと、それこそイギリス自身が言っていたように、ポルトガルという国は経済的にはイギリスに隷属しているようなもので、さらに長い同盟を結んでいただけに、国情と国体は別などと急に距離を取ったら、それはそれで国が終わる。
――兄ちゃん、今度内職の金入ったら美味い酒でもおごったるわ…。
と、実はなんのかんので反抗期を過ぎたら自分の側はやはり嫌いじゃない元家族のような存在を思ってスペインはため息をつきつつまた紅茶を口に含んだが、イギリスの止めの一言
「それに俺の側にしたって実の家族みたいな相手とって、やっぱり考えられないしな。
例えるなら…お前、オランダを抱けるか?」
で、それをプ~っと吹き出すことになる。
なるほど、世の中無理なことはある…無理な事はあるな…
愛情が必ずしも恋情に結びつかない事もある…それをスペインは壮絶に悟ったのであった。
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