家族と伴侶のクリスマス7

「たしかにな、国的にはそうやな。
同盟言うても必ずしも対等ちゃうしな。
自分らは確かに国力に差があるし、自分の国があいつの国に内政干渉したり、一見対等に見えて実はあいつの国だけ産業終わるようなえげつない条約結んだり、経済的隷属に近いみたいに言われたりするけどな。
でも国の関係イコール個人の関係ちゃうやろ?
俺らかて国いう事やったら未だ領土問題かかえとるし」

事実を否定したところで意味が無い。
国情と国体は別なのだと言おうと思ったのだが、トドメを刺したらしい。

「そう…だよな。国力的にポルは俺に逆らえないし、なまじ長く同盟結んでて当たり前になってる関係を今更切ったらおおごとになるもんな…」
と、ず~んと落ち込まれた。

ああ、もうどう言ったらわかるねんっ!!
言葉で説明することが得意じゃないスペインはガシガシ頭をかきむしった。
そして少しやけくそな気分になる。

「あの言い方は俺に対してやからやっ!
あいつは俺が自分とくっついたんがめっちゃムカついとるからああいう言い方になっただけや。
せやからっ!!考えてみ?
自分にとって可愛いくて大切な大事に大事にしてた子が親しいことは親しいけど、え~?こいつ~?みたいな奴とくっついたらむかつくやんな?
ちょお相手に対しては感情的になって考えなしな言い方したりすることあるやんな?」

「…俺は…そんな事ないぞ?その子が本当に相手の事好きなら祝福するし、別にその子が家族じゃないなんて言わない…。」

「……カナちゃんがフランスとくっついたら?」

「…っ!!!!髭っぶっ殺すっ!!!!」
イギリスはいきなり持っていたヤカンをおいて、何故かキッチンを出ようとする。

「ちょ、自分どこ行くん?!」
「ちょっと髭をなぶり殺しにッ!大丈夫っ、すぐ戻るから」
にっこりと可愛らしい笑顔で恐ろしい事を口にする恋人様をスペインは慌てて止めた。

「待ったっ!喩え話やん?!別に実際くっついとるわけやないやん?!」
さすがに悪友と言えど、喩え話に使われただけで抹殺されたらたまらないだろう。

なのであらためてそう言ってみると、イギリスは若干据わった目で

「だって…万が一そんな事になってからじゃ手遅れだろう?」
と口元にだけ笑みを浮かべる。


あかん…フランス、堪忍。堪忍な。
と、スペインは心の中で謝罪しながら、それでも抵抗を試みた。

「わかったけど、今はせっかくの休暇やし、親分かて可愛い恋人と過ごしたいんやから、あとにしたって?」

腕を放さずそう言ってのけると、イギリスはぱぁっと赤くなって、

「し、しかたねえなっ。紅茶せっかくいれたし、クリスマスの支度も途中だからなっ」
と、いつものツンデレを発揮してくれて、とりあえずは今は事なきを得た気がする。

休み明け?そこまで時間がたてばもう無効だろう。

フランスには何かあったら逃げ足を発揮してもらおう。


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