家族と伴侶のクリスマス2

たまに指先を伸ばして顎の下をかいてやると、素直にゴロゴロと喉を鳴らすのが可愛らしい。
人間の時の素直になれない様子も可愛いのだが、こうやって素直に甘えてくれるのはやっぱり嬉しい。

食事などはやはり美味しい物を作ってやりたいし、美味しそうに顔をほころばせるのが何より可愛いので人間に戻ってもらっているし、夜は猫ではすることができないので人間でいるのだが、その他は甘えたくても甘えるのが苦手なイギリス的にも子猫だと躊躇なく甘えられるというのもあって、自宅にいても子猫で過ごしている時間も多い。

スペインの側にしても、ラテン男で色事が好きなように思われがちだが、実際色事も大好きだが、実はその愛情は親愛と恋情がかなり複雑に入り組んでいて、その比重は限りなくイコールに近い。

自分の手の中で安心して寛いで欲しい。
腕の中に抱え込んで甘やかして甘やかして甘やかしたい。

だからこそ、性的な行為に及ぶ時以外は、こうして恋情を向ける相手というよりは親愛の情を注ぐ相手、保護する相手として甘やかす対象でいられるのも、さして気にならない…というか、むしろとても楽しめてしまう。

なので、人目のある街中から帰っても、やっぱり恋人は子猫のままで、コートを脱いだスペインのセーターの肩口にしっかりよじ登った状態で、スペインが冷蔵庫に買ってきた食材を入れるのを見ながら時折ゴロゴロと喉を鳴らし、頭を首元にすりつけたりしている。

こうして冷蔵庫に入れるものをいれると、スペインはいくつかの食材を持ってエプロンを身につける。


「じゃ、ここにおろうな~。」
と、子猫の小さな身体を抱き上げると、子猫用に作った腹のあたりのポケットへ。

限りなく密着した状態でする調理は楽しい。

たまに剥いた皮が伸びすぎたりすると、小さな前足が、パシッパシッとそれを捕まえようと伸びてくるのは少し困りモノだが、それをたしなめる、そんなやりとりも、まさに自分が今一人ではないという証な気がして嬉しい。


まあそれを別にしても、少々個性的すぎる調理センスの恋人に調理をしないでくれと言って落ち込まれる事を考えると、この状況は大変都合が良いのだ。


Before <<<       >>> Next


0 件のコメント :

コメントを投稿