え??
なんだか様子が変だ。
(どないしたん?!!アーサー具合でも悪いん?!!!)
とニャーニャー泣くが返事がない。
妖精さんがアーサーに悪いことをするとは思えないが…どうするっ。
ここには当たり前だが獣医なんていない。
そのままフルフル震えているアーサーをとりあえずまた口にくわえて、スペインはかつて知ったる間取りを思い浮かべて、病人(猫)ならベッドだろう、と、とりあえず寝室へと急いだ。
寝室は幸いうすくドアが開いている。
見回せば現実のスペインの寝室と一緒で、アーサーがベッドにのぼりやすいように足元に足場になる箱が置いてあるため、それを伝ってベッドの上へ。
そこで加えていたアーサーをベッドにおろすと、そこでアーサーの身体に変化が起きた。
少しずつ少しずつ体が伸びていく。
まだ短くふさふさの毛のせいでまるまっこく見えた前後の足はスラリと伸び、ぽわぽわした顔もまるさは残しているモノの若干すっきりとして、ただただふわふわ可愛らしかった子猫が、あっという間に美しい金色の美猫に育っている。
スペイン猫より一回りほど小さいが、それでも大人の猫の大きさになると、アーサーの変化は止まり、アーサーは縮まっていた身体をほぐすように伸びをした。
(アーサーっ!大人になっとるっ?!!)
驚いて駆け寄るスペインに、本猫も自覚がなかったらしい。
自分の前足を目の前に持って来たり、後ろを振り向いて体を確認したりして、
(本当だ…でも俺何もしてねえぞ?)
と、不思議そうにコテンと首を傾けた。
まるく澄んだペリドットはそのままに、でも適齢の魅力的な女性のようなしぐさがよく似合うスラリと綺麗な姿に、スペインはごくりと唾を飲み込んだ。
(…ここ…ベッドやんな?)
(ああ?そうだな?ベッドだな)
唐突なスペインの言葉の意味を察することなく、アーサーは現実での自分の寝床になっている布団の上に移動して、気持ちよさそうにうつぶせに寝転ぶ。
尻尾が誘うように揺れた。
金色の毛並みが綺麗な背中のラインから目が離せない。
奥底から湧いてくる衝動を吐き出すように、スペインはけたたましくニャーニャー鳴いた。
(…?スペイン?)
スペインに背を向けていたアーサーが不思議そうに振り返り、まるでこの家のあちこちに散りばめられたメロンキャンディのようにまんまるに澄んだグリーンアイを見た瞬間……スペインの理性が飛んで、野生化し、スペインはその背中めがけて飛びついた。
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