それはスペインの家を模しているらしい。
扉はビスケットでできていて、開けられないので齧って中に入ると、リビングに。
当たり前だがこれは別空間らしいので妖精さん達はいないが、そこにはチョコレートでできたテーブルがあり、ソファはマフィンでできているらしく適度にふわふわだ。
アーサーと二人…もとい二匹でふんふんと匂いを嗅ぎ、各自好きな物を口に入れていく。
ふわふわと甘い匂いをさせたクッションをハムっとかじってみるとマシュマロがふんわりと口の中で溶けていき、喉が渇いたなと思えば、やはりキャンディでできたボウルに入ったサイダーが用意してあった。
面白くて二匹で家中を探検してみることに。
廊下には柄がチュロスで出来た箒。
先の部分はカリッと揚げて塩を振ったパスタ。
風呂場に行こうと先に立って走って行ったスペインがふと薄いビスケットで出来た足ふきマットを見ると、そこに描いてある絵柄はいつもいつもスペインの邪魔をするにっくき超大国で、さりげなくそのうえで足踏みをしてバリバリに割ると、アーサーに気づかれないように端に寄せておく。
さらに進んだ浴室のお風呂のタイルはマーブルチョコで出来ていた。
そしてやっぱりキャンディで出来ている湯船の中身はサイダー味のゼリー。
落ちないように気を付けて食べて、べたべたになった顔はお互い舐めとって綺麗にした。
最初から面白がっていたスペインとは対照的に、最初は混乱し、落ち込んでいたアーサーも、すっかり楽しんで、ふんふんと鼻を鳴らしながら小さな足で駆け出していく。
普段二足歩行で歩いているので、4足歩行の視界はなかなか新鮮だ。
身体も軽く、理性では無理では?と思える高さでも結構飛び乗れる。
それになにより…あれだけ溺愛していたアーサーと同じ視点で物を見られるのは嬉しいし楽しい。
さらに成猫のスペインは、まだ拾いたての頃、アーサーがのぼったっきり降りれなくなった二階への階段だって余裕なので、飛び上がろうと構えたアーサーの首筋をひょいっとくわえた。
(何すんだっ、おろせ~!!)
と、アーサーは当然ながらマオマオ抗議するが、のぼり始めると落とされるのが怖いのか静かになった。
そして登り切っておろすと、ふ~っ!と歯をむき出して怒るが、次の瞬間、ピクン!と体を震わせた。
そのまま突っ伏すように床に伏せる。
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