霧にふさがれる視界。
それはふわふわとだんだん形を持っていき、気づけば綿あめになっていた。
はむっ!と食べると甘さが口いっぱいに広がって幸せな気分になる。
目の前にはびっくり眼の金色子猫。
ま~お…とすり寄ってこられて頭を擦り付けられて初めて気づいた。
(おおっ?!親分も猫になっとる?!!)
と話したはずの声は、にゃ~おという鳴き声に変わった。
驚いて手ならぬ前足を見てみれば、茶と白の毛が生えている。
アーサーと違って子猫ではなく、おそらく猫種も違うためふわふわとはいかないが、確かに猫だ。
(妖精さん…俺は良いけどスペインは…)
と、これはさすがに困ったと思ったのか、マ~オと鳴く金色子猫に妖精達は
(猫でも食べられるお菓子だから、明日まで二人きりで楽しく過ごしてね♪)
と、ヒラヒラ手を振って消えて行った。
(…あ……)
と、前足をぴょっと伸ばしたままの態勢でそれを見送る金色子猫。
完全に妖精達が消えてしまうと、うなだれながらスペインの方を振り向いた。
(…わ…悪い…妖精さん達も良かれと思ってしてくれてるだけで、悪気は全然ないんだ…)
と、まあ猫だから涙はでないわけだが、泣きそうな様子でうなだれるアーサーは可愛い。
にゃ~と慰めるようにその柔らかな毛並みを舐めてやると、ま~お、ま~お、と、すりすりすり寄ってくる。
(いたずら言うよりプレゼントみたいやんなっ。
アーサーはいつでも猫になれるかもしれへんけど、親分こんな経験滅多にできひんしっ!
おまけに可愛え恋人とおやつ付きやでっ)
にゃっと機嫌よく尻尾をたてると、金色子猫はぽかんと呆けたあと、
(お前って…どこまでもポジティブだよな)
と、まお…と、足元のキャンディでできた小石を前足で蹴ると、そっぽを向く。
照れているらしい。
(まあ、せっかくやから楽しもうか)
ひょいっとアーサーの首筋を加えると、放せ~!!とマオマオ鳴きながら手足をばたつかせるのにも構わず、スペインはお菓子でできた家まで走って行った。
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