元々鉄が嫌いだという妖精達。
あのすさまじい音と風も同時に避けたくて、みんな家の中に避難してきているらしい。
家の中がまるでファンタジーの絵本のようにキラキラと光ってる。
と、また思ったままを口にすれば、スゥっと室内が若干暗くなって、うっすらとした室内を飛び回る光の中に、可愛らしいふんわりとしたドレスを着た少女たちの姿が見える。
え?ええっ??!!!
「なあ、なあ、なんや見えとるでっ!!親分にも見えとるっ!!!
この綺麗なお嬢ちゃん達が妖精さんなん?!!!」
驚きと興奮で、誰がいるわけでもない隣をパシパシ叩くように手を振れば、少女たちはコロコロと可愛らしい笑い声をあげる。
(…今日はハローウィンだから…特別なのよ…)
(…初めまして、太陽の国……)
(…私達のイングランドをよろしくね……)
口々に言ってスペインの周りをクルクル回る妖精達の愛らしさに感動するスペイン。
子どもの頃ローマの国で見た妖精達はもっと大きく姿も大人の女性っぽかったが、小さな国土を反映しているのだろうか…。
イギリスの妖精達は皆少女のように可愛らしい。
妖精さん達にとにかく見とれるスペインに、ポケットの中のアーサーも誇らしげにま~お~と鳴く。
その声でスペインはそういえば…と、ポケットの中を覗き込んだ。
「アーサー、いつイギリスに戻るん?
この姿もめっちゃ可愛えけど、これやと会話できひんね。」
と、スペイン的には何気なく聞いたその言葉で、場の空気がぴき~んと凍る。
比喩ではなく、文字通り凍ったように動かなくなる妖精達。
笑った口のまま固まっている。
「え?ええ??親分なにかあかん事言うた??!!!」
KYと言われていても、ここまではっきり現れれば、さすがにスペインだってわかる。
焦って妖精達を見回すスペインに、一人の妖精がプルプルと震えだし、やがてうえ~~ん!!!と泣き出した。
(ごめんなさいっ!
あの子からアーサーを隠そうと思ったのっ!隠すしか頭になかったのっ!)
とだけ言ってワッと両手に顔をうずめる妖精に、スペインの顔からさ~っと血の気が引いていく。
まさか……な?
(もう二度と戻れん…とかやないよな?)
おそるおそる聞くと、その隣の少し年長っぽい妖精がコクコクと首を縦に振った。
(大丈夫っ!明日には戻るわっ)
と、その言葉に心底安心して、は~っと大きく息を吐き出すと、スペインはその場にしゃがみ込んだ。
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