妖精と子猫のハローウィン2

「イギリスがうちに来てくれたら親分めっちゃ嬉しいけど、いっつも一緒にイベント楽しんどった妖精さん達は寂しない?
なんなら妖精さんも一緒にスペインに来れへんの?」

そう言ったらイギリスの目がまんまるになった。
そしてまんまるの目からポロリとまあるい雫が流れ落ちる。


え?ええ??親分何か悪い事言うた???

「か、堪忍なっ!!何か気に障る事言うてもうた?」

慌てて抱きしめてその涙をぬぐうと、イギリスはふるふると首をふり、まだ涙をポロポロこぼしながら笑った。

まるで朝露に濡れて光る花のようで、すごく綺麗だ…と、スペインが見惚れていると、普段は自分からはベタベタしてくれないイギリスが、スペインの首に腕を回してギュウっと抱き着いてきた。

「お前…妖精さんをちゃんと信じてくれてるんだなっ」
と感極まったように泣く恋人は可愛い。

「当たり前やん。可愛え恋人の大事な友達や。
親分にも見えへんのがめっちゃ残念やけど、大事に思っとるで?」
と、指先で零れ落ちてくる涙をすくうと、それをチュッと吸い取る。

見る見る間に止まる涙と真っ赤になる頬。

ああ、可愛え…。
と思っていると、不意に恋人の周りがキラキラと光り出した。

へ?

……ありがとう…太陽の国……
……嬉しいわ……ぜひ行かせてもらうから……

リンリンと鈴の音のような声が鳴り響く。


「う…あ…めっちゃ可愛え声やねぇ」

元々動じない性格である。
思ったままを口にしたら、鈴の音がどんどん増えて、周りにきゃらきゃらという笑い声が響き渡った。

そしてその中でもスペインにとっては一番可愛らしく聞こえる声…恋人の少し不安げな…でも嬉しそうな声。

「ほんとに…良いのか?」
そんな風に聞かれて否と言えるわけもないし、元々言う気もない。

「おん!親分張り切ってお菓子作っとくな?」
と笑えば、なんと初めて恋人の方から抱き着いてキスをしてくれた。

ああ、こんなに喜ぶならもっと妖精さんを巻き込んでイベントをするんだった。

確かに二人きりで過ごしたい、恋人には自分だけを見て欲しいというのはあるけれど、家族は大事だ。

ましてやずっと虐げられてきたイギリスを小さい頃から守ってきてくれた大恩人である。

某元弟のメタボ国家のように二人の邪魔をするようなこともなく歓迎してくれるならば、ぜひとも仲良くしておきたい。

こうしてハローウィン当日はスペイン宅でイギリスと妖精さんを招いて楽しむ事になり、慣れないスペイン宅なのでイギリスに妖精さんと一緒にお留守番をしてもらって、スペインは自ら足りない飾りつけや食材の買い出しに街まで行ってきたのだ。



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