「ここやったかぁ~~!!!おはよ~さんっ!!!!」
と、子猫の時は毎日のように聞いていて、しかし国体の時は聞いたことのないような、その場がぱ~っと明るくなるような挨拶をされて、イギリスは思い切り動揺して、手にした書類をばらまいてしまった。
何が起こっているんだ?!
何故子猫でもない俺にまで優しいんだ?!
混乱しながらもとにかくありがたく口にしたチュロスは、とても美味しい。
子猫の間は優しくはされているが、食べ物だけは猫用のミルクや離乳食なので、これは初めての体験だ。
どうしていいかわからずひたすら食べていると、にこにことそれを楽しそうに見ていたスペインの手が近づいてきて、指先がイギリスの口元に触れた。
どうやら砂糖がついていたようだ。
ああ、指先汚れちまったな…と思うのと同時に、あまりに現実感がないせいか、子猫の時のくせで、ついスペインの指先についた砂糖をぺろりと舐めとって、気づく。
しまったぁぁ~~!!!今、俺子猫じゃねえっ!!!!
ひどく慌てて言い訳をするイギリスを、それでも楽しげに見つめるスペイン。
何故?!何故だっ?!
「自分、なんや子猫みたいでめっちゃ可愛えなぁ」
なんて、イケメンスマイルで言うなっ!
そういう事は本当に可愛らしいレディに言うべきで………
………
………
………そうしたら………
この優しい時間は終わるんだろうか………
そりゃそうだろうな……孤独を癒してくれる優しいレディが現れたら、こんな貧相な男はもちろん、可愛い子猫の姿をしていたって敵いやしない……。
「ちょ、どないしたん?!親分なんかしてもうたっ?!
それともどっか痛いんっ??」
目の前の笑顔が消えて、その綺麗なエメラルドグリーンの瞳が驚きに見開かれた。
ガタっと身を乗りだすスペインに、グイッと腕を引っ張られる。
……へ?
「なあ、医務室行くか?!痛いとこあるんなら、親分に教えたって?」
ぽすんと胸元に引き寄せられて、顔をうずめたスペインのシャツが濡れていくのに、ようやく気づく。
…俺…泣いてたのか……
うあぁ~~と思ったのも一瞬。
本当に医務室へ連れて行こうとするスペインに慌てて
「いや、目にゴミが入っただけだからっ」
と言い訳する。
「せやけど…」
「本当に、なんでもないからっ!」
「ほんま?」
「ああ」
「…ならええけど…。何かあったら親分に教えてな?」
と、そこで少し抱き寄せる腕の力が緩んだので、少し身を離した。
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