同居相手は金色子猫6

…ま~ぉ………
最後に小さく一鳴きして、アーサーは決意をするために軽く目を閉じた……。

…………
…………
…………

1分後………


「あああぁあぁ~~さああああ~~~!!!!!!」
いきなり目の前でドアが開いて、スペインがすごい勢いでアーサーを掬いあげる。

「死なんといてっ!!すぐ病院連れてったるからなっ!!!!」
息を切らして涙をボロボロ流して叫ぶアントーニョをアーサーはぽかんと見上げた。

「しんどいんっ?さっきもなかなかミルク飲まんかったしっ!気づかんで堪忍なっ!!」

涙も鼻水も盛大に垂れ流しながら号泣するスペインに驚きすぎて、さきほどまでのナーバスな気持ちも吹っ飛んでしまう。


――まぁ~お

と、まあ落ち着けと言う気持ちを込めて、前足でポンポンと自分を抱えるスペインの指先を叩くと、スペインは、へ?とばかりにぽかんと目と口を丸く開いた。

「アーサー、調子悪いんやないん?」

――マオっ
と、小さく答えると、スペインの身体からほ~っと力が抜けるのがわかる。

「なんやぁ…。急に鳴き声が聞こえんくなって、気になって慌てて戻ってきたら床にぐったりしとるから、親分勘違いしてもうたぁ」
片手でアーサーを抱きしめ、片手でポケットからハンカチを出して涙と鼻水をぬぐうスペイン。

「あ~、あかん。もう二人来た時に酒冷えてへんでもええわ。来たらやらせよ。
こんな心臓に悪いの無理やわ」
スペインはそういうと、アーサーを抱いたままキッチンの方へ戻っていった。

うん…お前、どんだけ俺の事好きなんだよ…。

ホッとするやら呆れるやら。
どうやらまだスペインには子猫の自分が必要らしい。

それでもひと肌が心地いいので、ま~おぉと鳴いて自分の体を抱えるスペインの手に頭をすりつけると、スペインは幸せそうに微笑んで、また眉間を撫でてくれた。


ああでもどうしよう。嬉しいけどどうしよう。
飽きられていたらすんなり元の生活に戻れたんだが…。
ずっとこのまま居られるわけじゃないし、どのタイミングで戻ればいいんだ…。

問題は全然解決していない。


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