…ま~ぉ………
最後に小さく一鳴きして、アーサーは決意をするために軽く目を閉じた……。
…………
…………
…………
「あああぁあぁ~~さああああ~~~!!!!!!」
いきなり目の前でドアが開いて、スペインがすごい勢いでアーサーを掬いあげる。
「死なんといてっ!!すぐ病院連れてったるからなっ!!!!」
息を切らして涙をボロボロ流して叫ぶアントーニョをアーサーはぽかんと見上げた。
「しんどいんっ?さっきもなかなかミルク飲まんかったしっ!気づかんで堪忍なっ!!」
涙も鼻水も盛大に垂れ流しながら号泣するスペインに驚きすぎて、さきほどまでのナーバスな気持ちも吹っ飛んでしまう。
――まぁ~お
と、まあ落ち着けと言う気持ちを込めて、前足でポンポンと自分を抱えるスペインの指先を叩くと、スペインは、へ?とばかりにぽかんと目と口を丸く開いた。
「アーサー、調子悪いんやないん?」
――マオっ
と、小さく答えると、スペインの身体からほ~っと力が抜けるのがわかる。
「なんやぁ…。急に鳴き声が聞こえんくなって、気になって慌てて戻ってきたら床にぐったりしとるから、親分勘違いしてもうたぁ」
片手でアーサーを抱きしめ、片手でポケットからハンカチを出して涙と鼻水をぬぐうスペイン。
「あ~、あかん。もう二人来た時に酒冷えてへんでもええわ。来たらやらせよ。
こんな心臓に悪いの無理やわ」
スペインはそういうと、アーサーを抱いたままキッチンの方へ戻っていった。
うん…お前、どんだけ俺の事好きなんだよ…。
ホッとするやら呆れるやら。
どうやらまだスペインには子猫の自分が必要らしい。
それでもひと肌が心地いいので、ま~おぉと鳴いて自分の体を抱えるスペインの手に頭をすりつけると、スペインは幸せそうに微笑んで、また眉間を撫でてくれた。
ああでもどうしよう。嬉しいけどどうしよう。
飽きられていたらすんなり元の生活に戻れたんだが…。
ずっとこのまま居られるわけじゃないし、どのタイミングで戻ればいいんだ…。
問題は全然解決していない。
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