――なるほど…。一人で生きていけない月齢の子猫がいきなり消えたら、まず心配するよな。
もちろんフランスが危惧した通り、最後の“それだけじゃなさそうだけどね。”の一言は聞こえていない。
彼の脳裏には他ならぬ自分が魔法で姿を変えていた子猫だったのもあって、スペインがその子猫自身に、もっと言うなら、その子猫の個性に惹かれて執着しているなどという考えは全くなかった。
そう、だてに人間関係においては自己評価の著しく低い悲観主義者として名を馳せているわけではないのだ。
ということで、一応世話になった相手がそこまでやつれるほど気にしているという事については申し訳なく思ったイギリスは、スペインに子猫の身は心配しないで良いのだという事をどうやって伝えるかという一点のみについて考え始めた。
もちろんそこには実は自分が魔法で変わった姿だったという事実をばらすという選択肢はない。
だって、どう考えても不仲な相手にそれを言われたら、それを信じても信じなくても嫌だろう。
本当は子猫自身の姿で言えれば良いのだが…現実的に考えて子猫がしゃべったらおかしい。
…現実的に……いや、現実でなければ、ありなのかっ!!それだっ!!!!
思いついたらもう頭の中はそれ一色で、イギリスは計画を実行するための魔法に必要な材料をメモし始める。
それを昼の間にソッと秘書に渡して用意して宿泊先のホテルに届けてくれるように頼んだ。
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