こうして何事もなかったように元気になったアーサーだが、それ以来やはり急に体調を崩されるのが怖くて注意深く見ていると、なんだかその性格の可愛らしさがわかってきたような気がした。
たとえば…スペインが一緒に遊ぼうと新しいおもちゃを用意したりすると、最初は関心なさそうに知らんぷりをしているのだが、興味を抑えきれずにちら、ちら、とおもちゃの方を盗み見ている。
そこで
「親分これで遊びたいんやけど、一人は寂しいなぁ…」
などとわざとらしく呟いてやると、仕方ないなぁとばかりに、ま~お、と鳴いて、近づいてくるのだ。
もちろん、一度遊び始めるともう夢中だ。
アーサーの体調を見て広い本宅の方に帰ったため自然に行動範囲も広がって、色々な物に興味津々で、やたらと匂いを嗅いだり前足でパフパフと叩いたりしているが、それに気づいたスペインが
「なん?それに興味あるん?」
と、声をかけると、慌てて知らんぷりをしたりする……が、目がチラチラそれを追っている。
そしてスペインが見ていないとまた前足でパフパフし始めるのだ。
それにアーサーは面白いことにスペインの言葉を理解している気がする。
例えば、あの病気(?)以来、撫でさせてもくれるし、抱っこもさせてくれるのだが、『抱っこしたろか?』とか『撫でたろか?』などと言うと、フン!と言わんばかりに無視される一方で、『親分寂しいわ~。アーサー抱っこさせたって』とか、『アーサーのふわふわな毛並み触らせてほしいわ~』とか、自分の方がそうしたいと下でに出ると、させてもらえる。
もちろん、撫でられるのは好きで、撫でてやると目を少し細めてゴロゴロ喉を鳴らすのだが、それで『気持ちええ?』などと聞いてしまうと、ハッとしたように飛び起きて離れてしまうあたりが、面白いし、可愛らしい。
偉そうで一見愛想がないのに、寂しがり屋の甘えん坊…。
そう言えば昔々上司が結婚していた時期に少しだけ交流のあったかの島国も、そんな子どもだったのかも…という気がしてきた。
あの時は慣れるまでは一緒にはいられなかったが、行動パターンが病気前のアーサーに似ていたように思う。
あの頃は自分も子どもで、わざわざ懐いてもくれない子どもの機嫌をとってみようなんて思いもしなかったが、長く一緒に暮らすことになったロマーノも確か最初は素直じゃなくて可愛げがない子どもだと思ってたのだ。
あの子どもだって長く暮らせば可愛いと思ったのかもしれない。
まあ…すべては今さらではあるが……。
それよりも今は目の前の子猫だ。
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