――この恨み…はらさずにおくべきか…
ピカリと光る雷に照らされた洋館の窓に映る血塗れの男…。
顔の左半分は焼き爛れ、ボサっと肩あたりまで届く髪はザンバラなまま放置されている。
来たなぁ……この無念を味あわせてやろう…
一人では…沈まぬ…。貴様も道連れだ…
再び光った稲妻に、その中のとりわけ小柄な少年が男のいる2階を見上げ、大きな新緑色の瞳を見開いた。
が、すぐ再び暗闇が訪れ、男の姿を隠す。
よしんば…男の姿をはっきりと認識していたとしても、彼らに他に行くところはない。
ここは人の住まぬ小さな孤島。
雨風を凌ぐのはこの館しか無く、真水さえも館の中の井戸にしかない。
救助のあてのない遭難者が生き延びるには館に入るしかないのである。
――ようこそ、呪いの館へ…。さあ恐怖の始まりだ……。
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