そして最後の野宿の場所は…滅んだ村の跡地。
3人の故郷だ。
墓をちゃんと作ろうと言い出すアーサーに、明日は決戦だからと遠慮するギルベルトと止めるアントーニョ。
しかしこれも1つのけじめだというアーサーの意志が最終的に通って、アントーニョが穴を掘り、3人で拾えるだけの骨を拾ってそこに埋め、最後にささやかながらも木の慰霊碑たてて、死を悼むと共に戦勝を祈願する。
と、焚き火を囲みながらギルベルトが膝を抱えて呟く。
パチパチと跳ねる炎。
今日の火の番は本来はアントーニョの予定だったが、眠れそうにないから代わるとギルベルトが代わったのだ。
「俺様達…ちゃんと絆築いてこれたと思うか?」
そう言われてどうやら起きている事に気づかれた事に諦めて、フランシスも身を起こした。
「そうだねぇ…少なくともトーニョとギルちゃんは?
まあ築けてなかったら色々終わっちゃうわけなんだけど……」
と、フランシスは言って、ギルベルトと並んで火を囲んだ。
「アーサーに隠したままで大丈夫だと思うか?」
と、チラリとアントーニョに抱え込まれて眠るアーサーに目をやるギルベルトに、フランシスは困ったように微笑んだ。
「じゃあ…言っても大丈夫だと思う?
出来れば向こうについたらギルちゃんがエスコートして、即効門の封印をする…それが最善なんだけど…。
あそこ岩が隆起しすぎてて飛べないからさ、お兄さんはほぼ役立たずだしね」
「そうしてやりたい…な。俺様次第か……」
大きくため息をもらすギルベルトの肩をフランシスはポンポンと叩く。
「まあ…どう転んでもギルちゃんだけの責任なわけじゃないからね?
お兄さんだって役立たずと言いつつフォロー次第では戦況変わるだろうし、トーニョも言わずもがな。
あんまり気を張りすぎなさんな」
と、そうは言っても無理だろうね…と、みんなのお兄さんを自称するフランシスは内心苦笑した。
こうしてそれぞれの思いをよそに、時間は過ぎ、運命の夜が明けていく。
「さあ~今日で全部終わらせるでぇっ!!」
とのアントーニョの雄叫びで、それは始まったのである。
「とりあえず…陸地につくまでは念のためトーニョといて、陸地についたらギルちゃんにチェンジね。
上位の鬼ってそう多くはないから、できるだけ避けて、お兄さんとトーニョが道を切り開いて、坊っちゃんはギルちゃんにエスコートされた状態で奥の門を目指してね。
門を封印しない限り、鬼はドンドン湧いて出るから、倒す事に固執しないでね」
とのフランシスの言葉に、アーサーはアントーニョにエスコートされる。
そして乗り込む舟。
せっせと漕ぐのは珍しくフランシスだ。
アントーニョはアーサーをエスコート中、ギルベルトは着いてから中心的な役割を担うことになるからである。
別にサボり魔なわけじゃなかったんだな…と、率直な感想をもらすアーサーに、アントーニョとギルベルトが笑いを零し、フランシスは、お前らひどい、もっとお兄さんを愛しなさいよっと、いったん櫂を置いてまで泣き真似をして、ちゃっちゃと漕げと容赦無いツッコミをいれられる。
これから世紀の決戦に向かう集団とは思えない和やかさである。
こちらの動きを察知しているのかしていないのか、あるいは水上は得意ではないのか…島へ向かう間は全く襲撃らしきものはない。
「じゃ、ここからはチェンジやな」
と、エスコートを解くアントーニョ。
「怪我1つでもさせたら、鬼の次に血祭りにあげられんのはギルちゃんやからな?」
との言葉に、
「させねえよっ。例え俺様の手の一本足の一本なくなろうが、ご主人には小指の先の小さな怪我すらさせる気はねえ」
と、ギルベルトは決意を込めた表情で請け負う。
「まあまあ、二人共熱くなりすぎないで、冷静に行こうね~」
とフランがクールダウンさせたあたりで、
【エスコート・モンキーナイト・ギルベルト】
とのアーサーの命令が下り、準備万端、3人は鬼ヶ島にそびえ立つ、大きな鬼の城へと足を踏み出して行った。
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