最悪の事態だ…と、イギリスは真っ青になる。
と、同時に反転。
キッチンにある裏口から逃走した。
「アーティっ!待ちっ!!!」
と、スペインが追ってくる気配がする。
逃げ足なら勝つ気がするが、持久力となると自信がなく、最終的に追いつかれる気がする。
しかしここはかつて知ったるフランスの家の庭で…そこには家主には何故か見えない古い友人達もいた。
「妖精さん、頼むっ!!!」
と、言うと、集まってきて力を貸してくれた。
ふわんとイギリスの周りを柔らかい空気が取り巻いたかと思うと、次の瞬間、人ならざる者の通り道にイギリスはいた。
――これは私たちの魔法の道。好きな場所に送ってあげるわ。さあ、あなたはどこに行きたい?
「…日本へ……」
よもやこんな形でバレてしまうとは思わなかった。
どうしたら良いのかわからない。
何故かひどく悲しくて、半泣きになりながら、イギリスがそう口にすると、
――それであなたが泣き止んでくれるなら…。
と、優しい声を残して柔らかい空気が消えると、イギリスはかつて知ったる木の作りの引き戸の前に佇んでいた。
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