ぺなるてぃ・らぶ・アナザー6章_1

フラグ完成


とりあえず無事風呂をクリアして、自分はシャワーを浴びる。


明日はどうやって距離を詰めていこうか…
と、丁寧に丁寧にドライヤーで乾かしてやったイギリスにするのとは全く違って、自分の髪はガシガシと乱暴にタオルで拭きながらスペインがそんな事を考えていると、今度は何を思いついたのか、何かご機嫌で目をキラキラさせたイギリスが、
「スペイン、あれ見たいっ!」
と、DVDの棚の中のホラー映画を指さした。

「唐突やなぁ」
とは答えてみたものの、別にスペインにすれば反対する理由もないのでソファに座って見ることにする。

こうして隣り合わせに座ってDVDを見ること数十分。
苦手…という話も聞いていなかったが、映画が始まった時からなんだか緊張したように身を固くするイギリス。
だいぶ話が進んだ佳境のあたりでチラリと横目で見ると、すでに画面を直視せず、少し視線を逸らした状態できゅっと小さな唇を噛み締めている。
そしてウロウロ宙をさすらう手。

――え?
スペインの袖口をその手がギュゥっと掴んだ。
そこから伝わってくる震えに再度チラ見をすると、すでに目が潤んで半泣きだ。

あっか~~~ん!!!!!
かっわかわええぇぇ~~~~!!!!!
そんなに怖かったんかっ!
このオズオズさ加減が堪らんわぁ~!!
もうあれや、この子は親分に守られるため生まれてきたんちゃう?!
さっさと自宅言う名の宝箱に閉まっておかんと、変態やらメタボやら危ない輩に連れてかれてもうたら大変やんっ!!
親分を自称するだけあって、頼ってこられるのは大好きなスペインの庇護欲…別名親分ゲージがガンガン上がっていく。
昔から一生懸命虚勢を張っているあたりが可愛らしいと思っていたが、こうして我慢しきれずすがってこられたら、もうダメだ。
抱き寄せて、一瞬顔中にキスの雨を降らせたくなった。

が、元々はパーソナルスペースが非常に広いイギリスのことだ。
今の段階でそれをやったら確実に引かれる。

やりたい…しかしそれで引かれて距離を取られるのは嫌だ…。
スペインがそんな欲求と理性の狭間で葛藤している間に、大きな丸い目にみるみる間に涙が溢れてきた。

ああ…あかんっ。
スペインはそこで理性を総動員した。

過剰に抱きしめてしまわないように気をつけながらイギリスの頭を引き寄せ、ワシャワシャと撫でてやると、

「もう遅いし、そろそろ寝よか~。」
と、イギリスを涙目にさせた諸悪の根源、ホラー映画を消して立ち上がる。

もちろんそのままいたら自分の理性が危険なので、早々にイギリスを部屋に帰し、自分も寝室へとかけこんだ。


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