色っぽいイケボイスで耳元で囁かれて、イギリスは動揺した。
そして混乱しきった頭で考える。
これは…ようは最初の告白のYESの返事…ということになるんだよな?
「あ、あのなっ、ごめんっ、俺…お前の事好きだけど、付き合えないんだっ。
告白は好きだって伝えたかっただけで……」
ワタワタと慌てるイギリスに、スペインは妙に冷静だ。
「好きなんやったら付き合ったらええやん?それとも付き合いたくないん?」
「い、いや…そういうわけじゃ……でも…わけが……」
「好き言う以上に大事なわけなんてないんちゃう?」
なんだか目が怖い。笑顔だけど目が怖い。
「いや…ほら、俺んとこ不思議国家だし…。」
「ええよ?妖精さんかて、俺は見えへんけど、俺育ててくれたローマのおっちゃんとこには普通におったみたいやしな。全然困らんかったで?」
「いきなり女になったりとかするかもしれねえぞっ」
「ええよ~。そしたら可愛いドレス着ような~。」
「そんな単純なことじゃねえだろっ!子どもとか出来たら…」
「親分子ども好きやから全然構へんよ。どんと来いやっ!」
ああ、そうだった…。こいつペドって言われるくらいの奴だったか…。
何を言っても動じずにニコニコしているスペインを前にイギリスはそっち方面は諦めて考えこむ。
自分が変わる系がダメなら……
「あ、そ、そうだっ!ヒゲっ!事情があってヒゲと付き合う事に…」
自分で言ってて気色悪いがこの際しかたない。
他の相手がいる、といえばさすがに諦めてもらえるだろうと思ったが、
「親分の事好きや言うイギリスと無理やり付き合うなんて、あの変態外道やな。
安心し?あとで潰しとくわ。」
と、にこやかに言われて、イギリスは青くなった。
今更嘘とは言えない…。
悪いヒゲ、墓には特別にうちの庭で咲いた薔薇を備えてやるから…と、心のなかでフランスに合掌する。
フランスもまあ自分が仕掛けた罰ゲームの末路だ。本望だろうと決めつけて、イギリスはその事については気にするのをやめた。
問題は今だ。
「じゃ、そういう事で問題ないやんな?」
と、良い笑顔で迫って来られて、思わずベッドの上で後ずさる。
「…じゃなきゃ……」
「へ?堪忍、小さくて聞こえへんかった。もうちょい大きな声で言ったって?」
「結婚前提とかじゃないと、軽い気持ちで付き合うとか嫌だからっ!!」
「あ~、じゃあ明日指輪買いに行って籍入れよか。」
「はぁ?!!」
「良かったなぁ。親分とこは同性婚OKなんやで~。」
――これで解決やんな?
言われて勢いで頷いてしまったことでまた、前途多難になる事まで、この時のイギリスは動揺しすぎて考える事はできなかった。
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